前回は、民法上の成年となる年齢の18歳への引き下げ(2022年4月1日施行)の背景と、それによって変わることについてまとめました。
今回は、「改正法施行後でも変わらないことと、問題点・懸念点」についてまとめます。
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18歳になってもできないこと(これまでと変わらないこと)
喫煙や飲酒ができる年齢は、改正法施行後も20歳からです。その他にも、これまでと変わらず20歳からでないとできないことがあります。
喫煙・飲酒
未成年者喫煙禁止法・未成年者飲酒禁止法によって満20歳未満の方の喫煙・飲酒は禁止されています。「お酒やたばこは20歳から」というルールは変わりません。
尚、改正法施行後は、未成年者喫煙禁止法は「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」に、未成年者飲酒禁止法は「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」に改名されます。
競馬・競輪・競艇・オートレース
現行の競馬法では、未成年者の馬券購入が禁止されています。
(勝馬投票券の購入等の制限)第二十八条 未成年者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。
競馬の馬券は、改正法施行後も20歳未満の方は購入できません。競馬法28条の未成年者の表記を”20歳未満”と改め、ギャンブル依存症対策などの観点から、従来の年齢を維持することとされています。
その他、競輪・競艇・オートレースといった公営競技も同様に20歳未満の方には年齢制限がかかります。
裁判員になる
裁判員は、衆議院議員の選挙権を持つ方の中から選任されることが”裁判員の参加する刑事裁判に関する法律13条“で定められています。
公職選挙法が一部改正・平成28年6月19日に施行されたことによって、選挙権年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
しかし当分の間、裁判員は20歳以上の選挙権のある方から選任されることとなります。
養親になる
現行民法792条では「成年に達した者は、養子をすることができる。」と規定されていますが、2022年4月1日からは、「成年に達した者」から「二十歳に達した者」と改正されます。
養親となり他人の子を法律上自己の子として育てるには、重大な責任を伴います。改正法施行後も、引き続き養親となれるのは20歳以上であり、18歳になっても養子を迎えて養親になることはできません。
成年年齢引き下げにともなう懸念点・問題点
成人式
各自治体では、成年となる学年の方を対象に成人式を執り行っています。成人式を開催する時期や開催方法について法律上の規定はないため、成人式をどのように開催するかは各自治体の判断に委ねられています。
これまでと同様に20歳の方を対象にする、改正法施行に合わせて18歳の方を対象にする、2023年開催の成人式は18歳から20歳の方を対象に同時開催するなど、成人式の在り方については、自分が参加する自治体の成人式の開催方法をチェックしましょう。
少年法の改正
少年法では、少年の定義を「20歳に満たない者」とし、成人を「満20歳以上の者」と定義しています(少年法2条)。
少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずること」を目的としています(少年法1条)。この目的から、少年法では、少年に刑罰を与えることが第一目的ではなく、健全な育成や保護を目的にしていることが分かります。
法制審議会が法務大臣に答申した内容によると、改正民法第4条施行後も、現行の少年法で定義されている少年の定義は改正されず、20歳未満の者が少年とされる見込みです。しかし、検察官逆送※の対象が広がり、強盗罪や強制性交罪といった1年以上の禁錮・懲役に当たる犯罪も原則検察官逆送の対象となります。
※保護処分ではなく、⓵年齢超過・②殺人や傷害致死事件などの重大犯罪により刑事処分が相当とする理由により、家庭裁判所から検察官に送致されること
(検察官への送致)第二十条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
また現行の少年法では、少年の実名報道は禁止されていますが、18歳・19歳の少年については略式起訴を除き起訴された段階で実名報道が解禁される予定です。
(記事等の掲載の禁止)第六十一条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
養育費の取り決め
改正法施行前の離婚に際し、子の養育費について「子が成年に達するまで養育費を支払う」と取決めをした場合は、その時点では“成年に達する=20歳”まで支払義務があることを想定していたと考えられますので、改正法施行後に18歳以上となっていた子の養育費は20歳まで支払義務があると解されます。
ただし、「成年に達するまで」としていた場合でも、子が高校卒業後に就職をして経済的に自立していれば、親が経済的支援をする必要がなくなると考えられています。







