「登記の仕事は、答えの決まっている仕事だから、簡単な仕事」
司法書士のメイン業務の一つである登記申請手続きの仕事について、こんな風に言われることがあります。
確かに司法書士は、クリエイターや新規のサービスを提供するような仕事ではないため、何かを創造して世の中に作品やサービスを提供するまでの”生みの苦しみ”のような難しさがある仕事ではないかもしれません。
しかし登記の仕事に携わっていると、そんな簡単なものではく、答えが決まっているからこそシビアな仕事であると感じるところが多々あります。
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登記は失敗の許されない仕事
専門知識と経験から作り上げる書類
法務局に相談したり、ネットや書籍などを見たり調べたりすれば、登記申請に必要な情報を得れるため、司法書士でなくても自分で登記申請をすることができます。そのため、登記は司法書士のような専門家でなくても出来る仕事だと思われるのかもしれません。
自分のために自分でした場合は、少しミスがあっても許されるかもしれません。
しかし登記の仕事を生業にする司法書士には、少しのミスも許されることはありません。1点の曇りもなく仕事を完遂させ、100点を取って当然の仕事なのです。「ちょっと誤字があったまま登記されたから、今回は90点」のような評価はされません。完璧でない時点で0点と評価される仕事です。
そのため、正確に登記申請が出来るかを入念に調査・検討し、作り上げた申請内容を何度もチェックして登記申請に臨みます。
登記申請の仕事では、司法書士の成果物として目に見えるものは、登記申請書であったり、登記申請書に添付する登記原因証明情報などの”ただの書面”だけに見えるため、法律や先例で決められた申請内容に合わせてただ作れば良いだけの仕事と言えるかもしれません。
しかし、その申請書や添付書類は、登記主体や権利関係を正確に把握し、決められた答えを導き出すために膨大な条文や先例から根拠を見つけ、これまでに得た専門知識や経験を詰め込んで出来るものです。
正確性とスピードが求められる決済の仕事
不動産売買をする際には、売主・買主・仲介業者・司法書士等が一堂に会して取引を行う”決済”という場面があります。
「司法書士ってフラっと決済現場に来て、書類をちゃちゃっと確認するだけで報酬を貰えていいね。」
そんなことを思われる方もいるかもしれませんが、司法書士の仕事はそんな簡単なものではなく、司法書士に課される責任も軽いものではありません。
決済では、司法書士は取引を安全に進めるため、当事者の本人確認や取引意思の確認、登記申請に必要な書類の確認等を行います。
権利証や印鑑証明書・住民票等の原本は、決済の場で初めて提示されることが多々あります。決済という限られた時間の中でそれらが真正であることを判断し、権利証が取引対象不動産の権利証であることを確認し、印鑑証明書と実印を照合して正しいものであることを確認し、印鑑証明書や住民票の記載内容が申請書や登記原因証明情報の内容と合致しているかをも確認します。司法書士には、それらを緊張感のある現場で正しいか否かを瞬時に判断できるスピードと正確性が求められます。
取引を成立させるための条件が揃っていないと司法書士が判断した場合は、決済を中止にすることもあります。どれか一つでも見落として決済を進めてしまうと、後々大きなトラブルに繋がる可能性があります。人・モノ・意思の確認は、ある程度決まった手順ですることではありますが、それは決して誰もが出来る流れ作業のようなものではありません。
「正解があるからこそ、一つのミスも許されない。」










