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士業の仕事

抵当権抹消登記を長期間放置するとどうなる?手続きが複雑に。[六法先生の士業紹介]

士業5長期間放置した抵当権抹消登記

こちらの記事で住宅ローン完済後の抵当権抹消登記手続きをする際の司法書士の仕事の流れについてご紹介しました。

抵当権抹消登記は、銀行等(抵当権者)から抹消書類を交付された後、いつまでにやらないといけないといった決まりはありません。しかし、抵当権を抹消せずに長期間放置しておくと、以下のようなリスクが高まり、必要な書類が増える等、手続きが複雑化する可能性があります。

  • 委任状を発行した銀行等の代表者が退任し、現在の代表者と異なっている
  • 銀行等の抵当権者が吸収合併された
  • 所有者が認知症になった
  • 所有者が死亡した
  • 銀行等が交付した抹消書類(登記原因証明情報/権利証/資格証明書/委任状)を紛失した

抵当権抹消登記はご自身でもできますが、上記のようなことが起った場合は手続きが複雑になりますので、司法書士へご相談ください。

六法先生
六法先生
住宅ローン完済後に銀行等が抵当権抹消書類を交付した後、上記のようなことがあった場合に、司法書士が抵当権抹消登記手続きの依頼を受けた場合の司法書士の仕事についてご紹介します。

※ここで紹介するのは抵当権抹消手続きの依頼があった場合の司法書士がする基本的な仕事の流れの一例ですので、事務所やお客様の状況によって異なる点がある旨ご了承ください。

委任状を発行した銀行等の代表者が退任し、現在の代表者と異なっている

銀行等が交付する抵当権抹消手続きの委任状には、その委任状を発行した当時の代表者の氏名が記載されています。

抵当権抹消登記手続きを長期間放置していたために、現在の代表者が委任状を発行した代表者と変わっている場合には、新たに現在の代表者から委任状を発行して貰うことが考えられます。

しかし代表者が変更になっても、実務では、退任した代表者が発行した委任状をそのまま使います。

申請書には、義務者欄に会社法人等番号と現在の代表者の氏名を記載し、「登記義務者の代表者の代表権限は消滅している。代表権限を有していた期間は平成○年〇月○日から令和○年〇月○日である。」と書きます。

六法先生
六法先生
退任した代表者の在任期間と現在の代表者を確認するため、会社の登記簿謄本(閉鎖謄本)を取得します。

銀行等の抵当権者が吸収合併された

住宅ローンを完済後、抹消書類が交付された後に銀行等の抵当権者が吸収合併されていた場合は、交付された抹消書類で手続きを進めることができます。抵当権抹消手続きをする前に、抵当権を承継会社へ移転させる必要はありません。

この場合、申請書の権利者欄には合併したことが分かるように、

(被合併会社 株式会社○○銀行)
大阪市○○区○○町○丁目○番○号
上記承継会社 株式会社△△銀行
(会社法人等番号 1234-56-789000)
代表取締役 誠実太郎

と書きます。

六法先生
六法先生
住宅ローン完済前に、銀行等が吸収合併されていた場合は、抵当権抹消手続きをする前に、抵当権を承継会社へ移転させる登記が必要になります。通常は、抹消書類が交付される前に、銀行側で合併による抵当権移転登記が済まされている場合が多いです。

所有者が認知症になった

抵当権抹消登記手続きは、不動産の所有者が権利者、銀行等の抵当権者が義務者となって共同で行います。

しかし、抵当権抹消書類が交付された当時は判断能力があったものの、長期間手続きを放置していたために、権利者である所有者が現在は認知症なっていた場合は、抵当権抹消手続きをすることができません。登記申請をするには申請意思が必要であり、手続きを司法書士へ委任する場合も委任する意思が必要であり、判断能力がない状況では委任することができないからです。

この場合は、家庭裁判所へ成年後見人の選任を申立て、成年後見人が抵当権抹消手続きをすすめることになります。

六法先生
六法先生
抵当権抹消手続きをするためだけの成年後見人というのは存在せず、一度成年後見人が選任されると、所有者が死亡または判断能力を回復するまで成年後見人として所有者の支援をすることになります。

所有者が死亡した

住宅ローンを完済後、銀行等から抵当権抹消書類を交付された後に、所有者が死亡した場合は、所有者の相続人が抵当権抹消登記手続きを進めます。抵当権を抹消する前に、所有権の相続登記をする必要はありません。

※住宅ローンを完済前に所有者が死亡した場合は、抵当権を抹消する前に、所有権の相続登記が必要です。

この場合は、所有者の死亡の事実を証明する戸籍(除籍)謄本と、登記申請をする相続人の戸籍謄本が必要です。申請書の権利者の欄には、「亡誠実一郎相続人 住所 誠実次郎」と記載します。登記申請は相続人が複数人いても、その相続人のうちの一人から行うことができますので、その場合は申請する相続人の前に(申請人)と記載します。

ただ、相続が発生した場合、結局は所有権の相続登記をすることになるので、抵当権抹消登記手続きを急がない場合は、相続登記をした後に、登記名義人となった相続人が抵当権抹消手続きをおこなっても問題ありません。

銀行等が交付した抹消書類(登記原因証明情報/権利証/資格証明書/委任状)を紛失した

抵当権抹消手続きを長期間放置していた間に、銀行等が交付した抹消書類を紛失してしまうことがあります。

この場合は、銀行等と連絡を取って、登記原因証明情報と委任状を再発行して貰います。司法書士から連絡する前に、お客様から銀行等に司法書士に依頼している旨を連絡して頂くと手続きがスムーズです。(銀行等によっては、再発行の手続きは本人からしか出来ない、又は銀行等が指定する司法書士しかできない場合があります。)

資格証明書(登記簿謄本)は司法書士が法務局で取得することができます。

問題は、権利証(登記済証または登記識別情報通知書)を紛失した場合です。権利証は再発行して貰うことが出来ませんので、権利証を紛失してしまった場合は、⓵資格者代理人(司法書士)による本人確認情報の提供、または②事前通知のいずれかの対応をします。

⓵では、司法書士が銀行等の担当者(支店長や融資課長)と面談して本人確認をし、本人確認情報という書類を作成します。本人確認情報には司法書士の職印を押印し、職印証明書を添付します。

②では、権利証(登記済証または登記識別情報通知書)を添付せずに登記申請をします。法務局は銀行等に対して、申請された抵当権抹消登記の内容が真実かどうかのお尋ねの通知を郵送でします。銀行等が真実であると返信すると、登記手続きが進みます。

いずれの場合でも、銀行等の委任状には実印での押印と、印鑑証明書の添付が必要です。

六法先生
六法先生
抵当権抹消登記手続きはお早めに。

 

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