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士業の議論・考察

[議論/考察]空き家問題

議論9:空き家問題

今回は4人の現役司法書士で「空き家問題」について話しました。

空き家を放置しておくと、建物が老朽化することによっておこる倒壊被害や景観悪化、不法侵入者による犯罪被害・治安悪化、雑草の繁殖による衛生上の被害などが起こり得ます。

電卓先生
電卓先生
「空き家問題」というけど、問題となっている空き家の定義って何だろうね?
情報屋先生
情報屋先生
空き家には、「①賃貸募集しているけど入居者が決まらない」「②売却しようとしているけど買い手が見つからず空き家になっている」「③別荘等のセカンド住宅」「④それ以外の住宅」があるけど、問題になるのは④のそれ以外の住宅ですね。
電卓先生
電卓先生
そうですね。①②③は管理者がいる(=所有者が明確)けど、④には行政代執行で取り壊されるような空き家が含まれますね。空き家問題と言われるのは、多くは管理者がいない空き家が対象となりますね。

空家等対策の推進に関する特別措置法では、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」を「空家等」と定義しています(2条1項)。

このうち、

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

にある空家等を、「特定空家等」としています(2条2項)。

電卓先生
電卓先生
行政や民間で「空き家バンク」といったサービスが運用されていますが、実際どれくらい活用されているのでしょうね。
情報屋先生
情報屋先生
需要と供給のバランスがマッチしていたら、そもそも空き家問題は発生しないので、どれくらい活用されているのか分かりかねますね。

空き家バンクを運営している55自治体の自己評価では、29の自治体が「登録戸数の伸び悩み」「成約戸数の伸び悩み」等を理由に低調と回答しています。しかし、空き家バンク登録を促す周知文書の送付や売却価格の助言等によって、空き家が活用され移住者が地域に定着する等の実績がみられたことで、登録を前向きに考える所有者が増加し、登録戸数は増加したとの報告もあります(参考:総務省(実地調査期間:平成29年10月~30年1月) 空き家対策に関する実態調査「各論4,65/66ページ」)。

電卓先生
電卓先生
単純に1世帯あたりに対して家が多いのが問題ですね。例えば、結婚してそれまで親と住んでいた家を出て新しく家を建てた場合、夫と妻の親が亡くなると、夫と妻の親の家の2軒が空き家になりますね。
誠実先生
誠実先生
日本の家は耐久年数が短いので、次の世代が受け継いで住み続けるといったことが難しいのかもしれませんね。傾向として、新築に住みたい人が多いようにも思います。税金面でも新築が優遇されるところがありますしね。
電卓先生
電卓先生
同じ場所で、その家を取り壊して新しく家を建てるのであれば問題はないと思いますが、新たな場所で新しく家を建てて、古い家が放置されることが問題となりますね。

平成25年の住宅・土地統計調査によると、全国で空き家となっているのは約820万戸、その中でも、長期にわたって不在等の状況にある空き家は約318万戸あり、平成5年から20年間で約2.1倍に増加しています(参考:総務省 空き家対策に関する実態調査「要旨」)。

国土交通省の平成25年の調査によると、全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは約14.7%で、欧米諸国と比べると1/6~1/5程度と低い水準にあります(参考:国土交通省資料「既存住宅流通を取り巻く状況と活性化に向けた取り組み 6ページ」)。

電卓先生
電卓先生
「空き家」が問題なのであれば、空き家を壊して更地にするという方法もありますが、更地にすると土地の固定資産税が上がってしまいますね。
情報屋先生
情報屋先生
それが理由で空き家となっている建物を壊したくても壊せないといった方もいるようですね。壊すにも費用がかかりますしね。
誠実先生
誠実先生
固定資産税の上昇がネックで取り壊せないのであれば、固定資産税のかけ方を見直す必要がありますね。

更地の固定資産税額は「課税標準額×1.4%」ですが、住宅用地の特例が適用されると減税されます。しかし「特定空き家」に指定されると減税が受けられなくなります。

誠実先生
誠実先生
ところで、空き家で問題とされるのは、都会と田舎で違いがあるかな?不動産の流通が活発な都会よりは、田舎の方が空き家は深刻なんだろうか。
情報屋先生
情報屋先生
平成25年の大阪市の住宅の空家数は約28 万戸、空家率は17.2%だそうです(大阪市資料参考)。都市部では住宅の新規供給が活発であるために、中古住宅が流通しにくいといった問題があるみたいですね。
六法先生
六法先生
田舎では、Iターン誘致で若者の移住を促して、空き家に住んでもらうといった施策を打っている地域もありますね。ただ行政主導で動いていると、補助金が打ち切られたら事業もストップしてしまうといったリスクがあるので、空き家問題を根本的に継続して解決していけるか疑問を抱きますね。
電卓先生
電卓先生
田舎にも空き家は多いと思いますが、田舎の方はコミュニティが密なこともあって、問題になる前に空き家を取り壊す等のなんらかの対処をしていることが多いと思います。更に過疎地域の田舎になると、周りに人が住んでいないと誰も文句を言う人がいないので、空き家があっても問題にならないんじゃないかな。

平成25年の住宅・土地統計調査によると、全住宅ストックに占める「その他空き家」(長期不在・取り壊し予定などの住宅)の割合の全国平均は5.3%ですが、鹿児島県、高知県、和歌山県は、「その他空き家」の割合が10%を超えています(参考:国土交通省資料「空き家等の現状について 2ページ」)。

誠実先生
誠実先生
行政の取り組みとしては、居住地区を集中させるコンパクトシティ化に取り組んでいるところもありますね。
電卓先生
電卓先生
コンパクトシティの実現に成功すると、行政サービスが充実したりインフラ整備が整ったり等、色々とメリットがありますね。過疎化している地域の人たちが都市部へ移住して廃村になると、空き家は増えても、空き家問題はおこらないのかもしれませんね。ただ、コンパクトシティ化を進めるには色々と課題があり、必ずしも全てが成功している訳ではないようです。
六法先生
六法先生
特に田舎の方だと、その土地を守るといった感覚や、代々家を継いでいくといった意識があるので、住み慣れた家や生活圏から離れるのに抵抗を持つ方は多いでしょうね。

参考:国土交通省資料「コンパクトシティの形成に向けて

誠実先生
誠実先生
ニュースでは戸建ての空き家問題が取り上げられることが多いけど、マンションでも空き家が増えることで、居住者だけでは管理費用(修繕積立金等)が不足するなどの問題が起こりますよね。
電卓先生
電卓先生
マンションは組合自治があるので、建物全体が放置されることはないけど、一戸建てだと空き家になると、その建物を管理する人が誰もいなくなりますね。行政代執行で取り壊しの対象となるような空き家は、一戸建てが対象になることの方が多そうですね。

高経年マンションには、所有者の高齢化や非居住化(賃貸・空き住戸化)が進行し、管理組合の役員の担い手不足や、総会運営や集会の議決が困難等の課題を抱えているものが多くあります(参考:国土交通省資料「マンション政策の現状と課題 7ページ」)。

空き家問題は一朝一夕で根本的に解決するのは難しいところですが、司法書士(司法書士会)は行政等と連携して空き家対策関連のセミナーを実施したり、相談会を開催するなど、空き家問題を解決するための様々な取り組みを実施しています。

また、空き家が発生する原因として多いのが「相続」を原因とする住宅の取得です。相続登記が未了のまま放置されていた空き家については、法定相続人の調査を実施して相続人を確定し相続登記申請手続のサポートをしたり、遺産分割協議がまとまらないまま空き家として放置されている場合は遺産分割調停申立、一部の相続人の所在が不明で遺産分割協議ができずにいる場合は不在者財産管理人選任申立をして解決を計る等、司法書士に相談することで解決できる問題もあります。

深刻化する空き家問題に対して、今後も継続して対策を検討していきたいと思います。

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