司法書士の仕事をしていると、「自然と漢字に詳しくなるな~」と感じることがあります。
不動産の所有権移転登記の申請をした場合、登記が完了すると、登記簿に権利者の住所氏名が登記されます。
権利者の住所氏名は、登記申請書の権利者欄に記載した通りに登記されるのですが、ではその住所氏名は何を参考にしているのかというと、権利者の住民票や印鑑証明書に表記されている住所氏名です※。
※個人の場合。法人が権利者になる場合は、法人の登記情報を参照します。
例えば「塚」という字。塚という字には、「塚」や「塚(ヽあり)」、この他にも微妙に異なる「塚」という字が存在します。
申請書に「兵庫県宝塚(ヽなし)市〇〇町〇番〇号」と記載してしまうと、法務局から補正の電話がかかってきます。
でも、申請内容の修正を促す補正の電話がかかってくるなら、まだ良いのです。恐ろしいのは、住民票記載の文字と異なる文字で申請書を作成してしまい、法務局のチェックでもそれが通過してしまった場合です。
この場合は、住民票記載の文字と異なる文字で登記されます。
例えば、「齋」が正式表記の「齋藤」さんの氏が、登記簿には「斉藤」と登記されるとします。すると、住民票や印鑑証明書・戸籍上では「齋藤」さん、登記簿上は「斉藤」さんとなります。
気持ちだけの問題ではなく、今後、手続に支障をきたす可能性もあります。
住民票の氏名とは違う表記で不動産登記簿の所有者の欄に登記されていた場合、次にその不動産を売ろうとした時、表記が違うために、売買による所有権移転登記をする前に、氏名の更正登記をいれなくてはならない事態が起こる可能性があります※。先の例でいうと、「齋」と「斉」は別の字であり同一人物とはされないため、登記簿上の「斉」の字を「齋」に更正する登記が必要になります。
“己”と”已”は同一性が認められるため、更正登記は不要と認められるという先例があるように、表記が違っても、更正登記が不要な場合もあります。住民票と登記簿上の表記が違う場合は、一度司法書士へご相談下さい。
もし、「斉」の字を更正する登記を入れずに所有権移転登記を申請してしまうと、その所有権移転登記はそのまま通ることはありません。申請を取下げて、1件目で更正登記、2件目で所有権移転登記を申請しなおします。
読みは同じなのに、似たような表記をする漢字は沢山あります。
渡邊さんの「邊」と「邉」、高橋さんの「高」と「髙(はしごだか)」、山崎さんの「崎(大)」と「﨑(立)」、静香さんの「静」と「靜」、隆造さんの「隆」と「隆(生にノ)」等々。
司法書士の仕事をしていると、目を皿にして書類を確認する機会が多いので、モノゴトに対する緻密さが増すとともに、「自然と漢字にも詳しくなるな~」と思う今日この頃です。













