超高齢化社会を目前に控えた日本にとって、後見制度は切っても切り離せない制度になってくるでしょう。今回は後見制度の中でも、法定後見制度についての解説です。
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法定成年後見制度とは
法定成年後見制度とは認知症や知的障害者、精神障害者などの理由で判断能力が不十分である方の代わりに、支援者(以下後見人等といいます)が代わりに財産の管理や契約を結んだりする制度のことを指します。
2000年4月よりスタートし、現在では年間3万5000件以上の申立てが行われており、約21万人の方に利用されています。
後見人等は家庭裁判所で選任される必要があります。選任する後見人等については何名か候補者を提出することはできますが、最終的な判断は家庭裁判所にあるため、候補者以外が選任されることもあります。
後見制度には『法定成年後見制度』とは別に、『任意後見制度』というものがあります。
『任意後見制度』は、判断能力があるうちに支援者とあらかじめ支援内容を決めて契約しておくものです。
契約できるだけの判断能力が必要となるため、法定後見制度を利用しなければならない方を対象に使用することはできません。
法定後見の種類
法定後見は保護の必要性に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられます。3つには以下のような違いがあります。
後見
後見は法律上『精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(民法7条)』を対象としています。簡単に言うと、判断能力がない状態のことを意味しています。
日常生活を送ることも困難になる場面が多く、財産管理などが全くできない状態であるため、広範囲に保護する必要がある方を保護するものとなっています。
一般的な契約行為は、日用品の購入を除いて、後見人が行うこととなります。
後見人となった人は、代理権(本人の代わりに法律行為を行う権利)と取消権(本人が行った法律行為を無効にする権利)が付与されます。ただし、同意権(本人が行った法律行為を有効な法律行為にする権利)は付与されていません。
アルツハイマー病を患い、5年前から物忘れがひどくなり、直属の部下をみても誰だかわからなくなるなど、社会生活を送ることが困難となっていった。家族の判別もつかなくなり、症状は重くなっていった。回復も見込めない状況であった。
保佐
保佐は法律上『精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者』を対象としています。
日常的な事柄は一人で行うことはできるけど、重大な法律行為については一人で行うには著しく不十分な方を保護するものです。
保佐人となった人は、民法13条1項各号に定められた不動産の売買や借入など重要な法律行為についての同意権と取消権を有します。
代理権については、本人の同意がなければ付与することはできません。
中程度の痴呆症状があり、以前から物忘れがみられた。徐々に症状が進み、買い物で1万円札をだしたのか5千円札をだしたのか、わからなくなることが増えていった。日常生活に支障が出るようになり、子の家族と同居することとなった。
被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
補助
補助は法律上『精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者』を対象としています。
日常生活を行う程度には問題はなくても、物忘れがひどくなっていたり、不必要な高級商品を購入してしまうなど判断能力が不十分な方を保護するためのものです。
補助人となった人は、同意権、取消権または代理権のいずれかまたは両方を付与されます。同意権、取消権については民法13条1項各号に定められた中の一部が付与されます。代理権については本人の同意がある場合に特定の行為について付与されます。
軽度の痴呆症状があり、米を研がずに炊いたり、家事の失敗が目立つようになっていった。訪問販売で不必要な呉服を何枚も購入してしまった。
法定後見制度に関する司法書士と税理士の会話








