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遺言方法の選定と遺言書の作成
遺言書作成の業務依頼が来たのが今年に入ってから。相談時には遺言者の大まかな遺言内容の希望、財産の把握等を聴取した。
相談者は依然ご自身の父上の相続時に『公正証書遺言』を用いられており、ご経験もあった事、相続財産も少なくなかった事などから、当方としては『公正証書遺言』を選択する予定であった。
しかし、相談者ご自身が『自筆証書遺言書保管制度』を利用したいとの事であったため、今回は当該制度を利用する運びとなった。
遺言書の内容は都度相談しながら作成し、財産目録は財産を聴取のうえワードを用いて作成した。(改正民法968条2項)
自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名の自書と遺言書への押印が要件だが、『自筆証書遺言書保管制度』では
- 用紙サイズの指定(A4)、余白の確保
- 筆記具の指定(ボールペン等消えにくいもの)
- 用紙が複数枚に亘ってもホッチキス留め不要、割印は不要
- 封筒には入れない(用意も不要)
- 通し番号を振ること(財産目録含む)
などが要請される。
筆者が法務局に問い合わせたところ、保管の利便性から要請されるようで、
「ホッチキス止め等されていたらデータとして読み込むのが煩雑でなので」
との回答を得た。
申請予約と申請書作成
申請先は、①遺言者の住所地 ②遺言者の本籍地 ③遺言者が所有する不動産の所在地 のいずれかを管轄する遺言書保管所である。
今回は大阪法務局に提出する事となった。
『自筆証書遺言書保管制度』では、すべての手続きにおいて予約制がとられており、予約は各保管所に電話予約するか、インターネット予約によって行うこととなる。
一時間単位で予約することが可能で、筆者は制度実施2週間程度後に申請予定であったが、2週間前に予約状況を確認したところ十分に空きがある状況だった。
申請書および記載方法の注意点についても法務局のHPに記載されている。申請書は手書き若しくはパソコンで記入することが可能であり、情報さえ揃っていれば作業的には難しいものではない。
申請手続き(当日)
保管申請当日は、10時からの予約を行っていたので少し早めに行って必要な印紙(3,900円分)を購入して、遺言者と落ち合った。
なお、保管申請は本人が直接出頭することが必要であり、司法書士が代理申請することはできない。
筆者は初めての経験だったことや幾つか確認しておきたいことがあったため、遺言者と共に赴いたが、依頼先の司法書士によっては遺言者自身で申請することも考えられよう。
以下、申請時の流れを箇条書きで。
- 本人確認として運転免許証の提出と確認
- 遺言書及び申請書の提出と窓口での簡易チェック
- 担当官が自席に戻り申請書等の確認
- 保管書の引渡し
本人確認と簡易チェックが終わった後は近くのベンチで保管官の確認作業を待つことに。トータル時間は一時間弱程度、その間に他の申請者が一組、相談者が一人、パンフレットなどを求める人が数人来所されていた。
始まったばかりの制度であり、担当部署では電話対応なども行っていたりとなかなかに忙しそうではあったが、意外と時間がかかるなぁというのが所感である。
最後に筆者が気になっていた以下の二点について問い合わせた。
①遺言者が亡くなった事実を保管所がどのように知りえるのか?
→保管所の回答
- 将来的にはマイナンバー制度によって行政機関が戸籍情報を取得し得るようになる。
- 現段階では、相続人等による『遺言書保管事実証明書の交付請求』などによって知ることとなる。
保管制度によって遺言書の改ざん等の恐れはなくなるが、現状、遺言者は保管している事実を相続人等に伝えておく必要はありそうである。
②保管申請時に遺言書の写し等はもらえないのか?
→保管所の回答
- 写し等の書類は発行していない。
- 保管した遺言書について閲覧制度があるので、そこで確認する事を想定している。
公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管されるが、正本・副本によって内容を確認する事が可能である。
それに対して保管制度は閲覧制度(手数料1400円もしくは1700円)を利用しなければ内容確認ができない。
現状、自身で複写したものを保管しておくことが望ましいと考える。
『遺言の種類とそれぞれにおける特徴』
『自筆証書遺言とは?メリット・デメリットと法改正について詳細に解説』
『遺言書の検認とは?~目的、必要書類及び手続について』
『法務局における自筆証書遺言書保管制度とは?司法書士が考えるメリット・デメリット』











