土地や建物を購入した時、抵当権を設定した時など、土地や建物の所有者が変わったり、不動産について担保をつける時には、登記簿と呼ばれる国が公開している帳簿にその権利の所在を記載(=登記)します。
不動産を買った時には「所有権移転」、抵当権を設定した時には「抵当権設定」といった具合に登記をしますが、この登記手続きをする際には「登録免許税」という税金を国に納めることになります。
今回は、依頼者Aさんの家に関する一生を見ながら、登録免許税について解説します。
- 土地を買う:「所有権移転登記」不動産価額×2.0%(軽減措置あり)
- 家を建てる:「所有権保存登記」不動産価額×0.4%(軽減措置あり)
- 抵当権を設定する:「抵当権設定登記」債権額×0.4%(軽減措置あり)
- 抵当権を抹消する:「抵当権抹消登記」不動産1個につき1,000円
- 不動産を相続する:「所有権移転登記」不動産価格×0.4%
- 中古住宅を売る:「所有権移転登記」不動産価格×2.0%(軽減措置あり)
※登録免許税の軽減措置に係る税率は、2020年8月現在の税率です。
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土地を買う:「所有権移転登記」不動産価額×2.0%(軽減措置あり)
土地を購入した際には、現在の所有者からAさんへ所有権を移転する登記(所有権移転登記)をします。所有権移転登記をする際にかかる登録免許税は、「土地の固定資産税評価額×2.0%」の税率で計算します。
例えば、土地の評価額が1,000万円だった場合の登録免許税は、そこに2.0%をかけて20万円になります。ただし、現在は登録免許税の軽減措置があり、税率は1.5%になります(2021年3月31日までに取得した場合)。1,000万円の土地を購入した場合の登録免許税は、15万円になります。
家を建てる:「所有権保存登記」不動産価額×0.4%(軽減措置あり)
建物を新築した際には、新たに登記簿を作成して、所有者を公示する登記(所有権保存登記)をします。所有権保存登記をする際にかかる登録免許税は、「建物の固定資産税評価額×0.4%」の税率で計算します。
新築建物は、未だ固定資産税課税台帳に登録されていないので、固定資産税評価額がありません。その場合には、法務局が公開している「新築建物等課税標準価格認定基準表」をもとに計算します。
基準額は建物の種類(居宅や共同住宅等の用途の種類)と、構造(木造や鉄骨造等)の組み合わせてによって、1㎡当たりの価格が決められています。評価額は、基準額×床面積で計算されます。
例えば、100㎡の木造の居宅を新築した場合の評価額は、基準額が1㎡あたり10万円だった場合、10万円×100㎡=1,000万円になります。登録免許税は、1,000万円×0.4%=4万円です。
ただし、現在は登録免許税の減税措置があり、一般住宅の税率は0.15%になります。評価額1,000万円の新築建物の登録免許税は、一般住宅では1万5,000円になります。
更に、長期優良住宅の認定を受けた住宅、低炭素住宅の認定を受けた住宅は、税率が0.1%になります(評価額1,000万であれば、登録免許税は1万円)。
抵当権を設定する:「抵当権設定登記」債権額×0.4%(軽減措置あり)
銀行から融資を受けた場合、大抵は土地や建物に抵当権等の担保権を設定します。抵当権設定登記をする際にかかる登録免許税は、「債権額×0.4%」の税率で計算します。
例えば、債権額が1,000万円だった場合、1,000万円×0.4%=4万円です。
ただし、現在は登録免許税の減税措置があり、軽減措置の条件を満たす建物に抵当権を設定する場合の税率は0.1%になります(2022年3月31日までに新築又は取得した建物に設定する場合)。債権額1,000万円の新築建物に抵当権を設定する場合の登録免許税は、1万円になります。
抵当権を抹消する:「抵当権抹消登記」不動産1個につき1,000円
銀行からの借入金を完済した場合、不動産に設定した抵当権の抹消登記をおこないます。抵当権抹消登記をする際にかかる登録免許税は、「不動産の個数×1,000円」です。
例えば、土地と建物に設定された抵当権を抹消する場合、登録免許税は2,000円です。
不動産を相続する:「所有権移転登記」不動産価格×0.4%
相続によって不動産を取得した場合は、登記簿に記載されている亡くなった方の名義から相続人名義に変える名義変更の登記(所有権移転登記)をします。売買によって不動産を取得した際の所有権移転登記の登録免許税は、固定資産評価額×2.0%でしたが、相続によって不動産を取得した際の登録免許税は、「土地・建物の固定資産税評価額×0.4%」です。
例えば、土地と建物の合計の評価額が1,000万円だった場合の登録免許税は、そこに0.4%をかけて4万円になります。
土地の登記名義人Aが死亡し、相続によってその土地を取得した相続人Bが所有権移転登記をせずに死亡した場合に、相続人B名義の相続登記をする際は、登録免許税はかかりません。詳細は法務局の「相続登記の登録免許税の免税措置について」のページをご参照ください。
中古住宅を売る:「所有権移転登記」不動産価格×2.0%(軽減措置あり)
先に書いたように、土地を購入した際の登録免許税は「土地の固定資産税評価額×2.0%」の税率で計算します(軽減措置が適用される場合は1.5%)。
中古住宅を購入する場合の所有権移転登記の登録免許税は「建物の固定資産税評価額×2.0%」の税率で計算します。評価額1,000万円の中古住宅を取得した際の登録免許税は、20万円になります。
ただし、現在は登録免許税の減税措置があり、要件を満たしていれば税率は0.3%になります(2022年3月31日までに取得した場合)。評価額1,000万円の中古住宅を取得した際の登録免許税は、3万円になります。
相談者Aさんの例は、一つの不動産について一つの権利の登記をする際の登録免許税についてご紹介しましたが、例えば、抵当権のついている土地・建物を銀行から融資を受けて購入する場合、
- 抵当権抹消登記
- 土地と建物の所有権移転登記
- 抵当権設定登記
の3つの登記を同時にすることになります。それぞれに計算方法が違ったり軽減措置の適用があったりなかったりします。登録免許税の計算ををする際には、それぞれの計算方法を確認し、軽減措置の適用可否を考慮しながら計算するようにしましょう。
登録免許税に関する司法書士と税理士の会話














