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税金・特例/控除

[相続税Q&A(2-1)]税額控除は併用可能?基礎控除の法定相続人とは?等(電卓先生の税金解説)

税金4:相続税質疑応答1

電卓先生
電卓先生
前回までに相続税の基礎知識として、「相続税の計算方法」と「税額控除」について解説致しました。今回は、相続税についてよく受ける11個の質問のうち、5個をQ&A形式にしてまとめましたので、ご紹介致します。残りの6個については、次回の記事でご紹介します。

Q1.遺産の分け方によって、納める相続税額に増減はありますか?

相談者A
相談者A
母が亡くなりました。父は既に他界しており、相続人は子である私と妹の2人です。遺産は現金1億円のみです。この場合、私5,000万円・妹5,000万円で相続する場合と、私が1億円・妹0円で相続する場合とで、納める相続税の額に変わりがありますか?
電卓先生
電卓先生
法定相続分で相続しても、遺産分割協議で法定相続分と違う分け方をしても、トータルで納める相続税の額に変わりはありません

1億円の遺産を、[Ⅰ]姉5,000万円・妹5,000万円、[Ⅱ]姉1億円・妹0円、で相続した場合の、それぞれの相続税額を計算してみましょう。

[Ⅰ]姉5,000万円・妹5,000万円の場合

①相続税の計算では、まずは相続人ごとに各人の課税価格を計算します。今回は、姉5,000万円・妹5,000万円の現金のみを相続するので、課税価格も姉5,000万円・妹5,000万円となります。

②次に、各相続人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。課税価格の合計額は、姉5,000万円+妹5,000万円=1億円です。

③次に、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。基礎控除額は、3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数なので、今回は4,200万円となります。課税遺産総額は、(課税価格の合計額)1億円 ー (基礎控除額) 4,200万円= 5,800万円です。

④課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。姉の取得金額は、(課税遺産総額)5,800万円 × 法定相続分(姉1/2) = 2,900万円、妹の取得金額は、(課税遺産総額)5,800万円 × 法定相続分(妹1/2) = 2,900万円です。

⑤各法定相続人ごとの取得金額に相続税の税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を算出し、各法定相続人の算出税額を合計して相続税の総額を計算します。相続税の総額は、(姉 2,900万円×15%-50万円)+(妹 2,900万円×15%-50万円)=770万円です。

尚、相続税の税率は、以下のように定められています。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

⑥相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算します。姉の相続税額は、(相続税の総額)770万円 × (姉の課税価格)5,000万円 ÷ (課税価格の合計額)1億円 = 385万円、妹の相続税額は、(相続税の総額)770万円 × (妹の課税価格)5,000万円 ÷ (課税価格の合計額)1億円 = 385万円となります。

電卓先生
電卓先生
1億円の現金を姉5,000万円・妹5,000万円で相続する場合の相続税の納付額は、770万円(姉385万円、妹385万円)です。

[Ⅱ]姉1億円・妹0円の場合

上記[Ⅰ]の①~⑤を参考に計算すると、現金1億円を姉1億円・妹0円で分けた場合の相続税総額は、(姉 2,900万円×15%-50万円)+(妹 2,900万円×15%-50万円)=770万円となります。

この770万円を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算します。姉の相続税額は、(相続税の総額)770万円 × (姉の課税価格)1億円 ÷ (課税価格の合計額)1億円 = 770万円、妹の相続税額は、(相続税の総額)770万円 × (妹の課税価格)0円 ÷ (課税価格の合計額)1億円 = 0円となります。

電卓先生
電卓先生
1億円の現金を姉1億円、妹0円で相続した場合の相続税の納付額は、770万円となり、姉5,000万円・妹5,000万円で相続した場合と同じ納付額となりました。

Q2.相続税の税額控除は併用できる?

相談者A
相談者A
相続税の税額控除には、贈与税額控除や未成年控除等、様々なものがあると聞きました。これらの税額控除は併用できますか?
電卓先生
電卓先生
はい、税額控除は併用可能です

相続税の税額控除には、①贈与税額控除、②配偶者控除(配偶者の税額軽減)、③未成年者控除、④障害者控除、⑤相次相続控除、⑥外国税額控除があります。(相続税の税額控除については、こちらの記事をご参照ください。)

例えば、未成年者で障害者だった場合は③未成年者控除と④障害者控除、未成年者で贈与を受けていた場合は①贈与税額控除と③未成年者控除を併用して使うことができます。

Q3.税額控除をして相続税の申告額が0円の場合でも税務申告は必要?

相談者A
相談者A
税額控除を適用して相続税の納付額が0円となった場合でも、税務申告は必要ですか?
電卓先生
電卓先生
基礎控除の範囲内で相続税を納付しなくて良い場合は、税務申告は必要ありません。ただし、配偶者控除を適用して納税額が0円になった場合は、申告が必要です

基礎控除額は、「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」の計算式に則って、相続人が誰であっても適用できる控除です。

これに対し、配偶者控除は、遺産分割方法によって適用する金額が変わる控除です。配偶者控除を適用して相続税の納付額が0円になったとして、もし申告せずにいたら、それが配偶者控除を適用して納税額が0円になったのか、ただの申告漏れなのか、税務署が把握することができません。

配偶者控除を適用して相続税の納付額が0円になった場合でも、必ず税務申告をしましょう。

Q4.基礎控除の計算では、法定相続人の数は、代襲相続人の数を基礎にする?

相談者A
相談者A
被相続人に配偶者がおらず、子が一人、その子の子(孫)は3人います。子が既に死亡していて、孫が代襲相続していた場合は、基礎控除を計算する際の法定相続人の数は、被代襲者である子1人ではなく、代襲相続人である孫3人として計算しますか?
電卓先生
電卓先生
はい、代襲相続の場合、基礎控除に含める法定相続人の数は、被代襲者の数ではなく、代襲相続人の数で計算します。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で計算します。代襲相続がおこっている場合、法定相続人は被代襲者ではなく、代襲相続人です。

ですので、基礎控除を計算する際も、法定相続人の数は、代襲相続人の数で計算します。

Q5.基礎控除の計算では、相続放棄した人も法定相続人?

相談者A
相談者A
基礎控除の計算をする際、推定相続人の中に相続放棄をした人がいても、相続放棄がなかったものとして、法定相続人の数に含めると聞きました。
電卓先生
電卓先生
はい、基礎控除を計算する際の法定相続人の数は、相続放棄したものがいても相続放棄がなかったものとして算定します。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で計算します。例えば、被相続人に配偶者がおらず、相続人が子1人のみだった場合は3,600万円、子2人の場合は4,200万円が基礎控除額となります。

子2人のうち1人が相続放棄をすると、民法上は法定相続人は子1人となります。そうなった時に、相続人である子のみが相続税を納付することになり、基礎控除額も4,200万円から3,600万円に減額されると、相続人である子の負担が大きくなりますね。

こういったことを考慮して、相続税の基礎控除額を計算する際には、相続放棄したものがいても、法定相続人の数は相続放棄がなかったものとして算定します。

電卓先生
電卓先生
今回は、相続税について一般的の方からよく受ける11個の質問のうち、5個をQ&A形式にしてご紹介致しました。次回は以下の残りの6個について回答致します。

 

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