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相続・終活

普通養子縁組と特別養子縁組の違い(成立要件、養子/養親等の比較)[相続・終活の基礎知識]

相続終活15普通養子縁組と特別養子縁組の比較

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は、「普通養子縁組と特別養子縁組の違い」について解説します。

前回までに、普通養子縁組と特別養子縁組の概要・手続きについてご紹介しました。今回は、普通養子縁組と特別養子縁組は、具体的にどこがどのように違うのか、比較して見ていきたいと思います。

「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の違い

成立要件

普通養子 特別養子
市区町村役場への養子縁組届書の届出 家庭裁判所の審判

普通養子縁組は、養子縁組届書を市区町村役場へ届け出ることによって成立します。

特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立します。尚、特別養子の場合でも、審判確定後、市区町村役場へ特別養子縁組届書の届出は必要です。

届出又は審判申立ての要件

普通養子 特別養子
養親と養子の合意 特別の必要性の存在

普通養子縁組では、市区町村役場への養子縁組届は、養親と養子の合意によって届出ます。

特別養子縁組をする際は、養子となる人の父母による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があることを要します。

養子の要件

普通養子 特別養子
・養親の嫡出子又は養子ではないこと
養親より年長者又は尊属ではないこと
・(配偶者がいる場合)原則配偶者の同意を得ていること
・(未成年者の場合)家庭裁判所の許可を得ていること
・原則:15歳未満であること
・例外:審判確定時に18歳に達していないこと

普通養子縁組では、養親の嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子ども)、既に養親の養子になっている者を養子にすることは出来ません。また、養子が養親の年長者又は尊属(父母や祖父母、叔父、叔母等)である場合も、養子にすることは出来ません。

養子に配偶者がいる場合は、配偶者の同意が必要です。ただし、一方の配偶者が心神喪失や行方不明等の理由で意思表示できない場合は、同意は不要です。

また、自己の直系卑属(例えば、祖父が孫を養子にする場合)や、配偶者の直系卑属(配偶者の連れ子)を養子とする場合を除いて、養子が未成年者の場合は家庭裁判所の許可が必要です。

特別養子縁組では、養子となる人は、家庭裁判所に審判を申立てするときに原則15歳未満でなければいけません。ただし、①養子となる人が15歳に達する前から養親となる人に看護されていた場合、②やむを得ない事由により15歳までに申立てできない場合には、養子となる人が15歳以上であっても審判を申立てすることができます。ただし、審判確定時に養子となる人が18歳に達している場合は、縁組不可とされています。

尚、養子となる人が審判時に15歳に達している場合は、養子となる人の同意が必要です。また、15歳未満であっても、養子となる人の意思は十分に考慮しなければならないとされています。

養親の要件

普通養子 特別養子
・[R4.3.31迄]成年に達していること(成年擬制可)、[R4.4.1~]20歳に達していること
独身者でも可
・(配偶者がいる場合)原則配偶者の同意を得ていること
・(配偶者がいる人が未成年者を養子にする場合)原則夫婦共同縁組
・原則:25歳以上配偶者のいる人。夫婦共同縁組
・例外:夫婦の一方が25歳以上であれば、もう一方は20歳以上で可

普通養子縁組の養親は、成年(20歳以上)に達している又は婚姻歴があることにより成年に達したものとみなされていること(成年擬制)が必要です。尚、令和4年4月1日からは成人年齢が18歳に引き下げられる関係により、養親の年齢要件はは20歳に達した者に変更されます。

夫婦がともに養親になる場合や一方の配偶者が意思表示できない場合を除いて、養親に配偶者がいる場合は配偶者の同意が必要です。また、配偶者の嫡出子を養子にする場合や、配偶者が意思表示ができない場合を除いて、配偶者のある方が未成年者を養子にする場合には、夫婦が共同して養親になる必要があります。

特別養子縁組は、原則25歳以上の養親が夫婦共同で縁組をする必要があります。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出子の養親となる場合を除きます。また、夫婦の一方が25歳以上である場合は、もう一方は20歳以上であれば養親となることができます。

実父母の同意

普通養子 特別養子
原則:不要 原則:必要

普通養子縁組では、実父母の同意は不要です。ただし、養子が15歳未満の場合は、親権者等の法定代理人が未成年者に代わって縁組の承諾をします(代諾縁組)。養子に監護者がいる場合は、監護者の同意も必要となります。

特別養子縁組では、父母が意思表示できない場合、父母による虐待・悪意の遺棄がある場合、その他養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合を除いて、養子となる人の父母の同意が(養親がいる場合は、その養親の同意も)必要です。

養子の嫡出子の身分の取得、親族関係の発生、実父母との親子関係

普通養子 特別養子
養子は養親の嫡出子の身分を取得
養子と養親の血族との間に親族関係が生じる
実父母との親子関係は継続 実父母との親子関係は断絶

普通養子縁組は縁組の日(養子縁組届出書を市区町村役場へ届け出た日)から、特別養子縁組は縁組が成立した日から、養親の嫡出子の身分を取得します。また、養子と養親の血族との間には、親族関係が生じます。

普通養子縁組では、実父母との親子関係は継続し、特別養子縁組では実父母との親子関係は断絶されます。

氏、親権、扶養義務、相続権

普通養子 特別養子
養子は養親の氏を称する
養子が未成年者の場合、親権は養親が行使する
養子は実父母と養親両方への扶養義務がある 養子は養親の扶養義務がある
養子は実父母と養親両方の相続権がある 養子は養親の相続権がある

普通養子縁組・特別養子縁組ともに、養子は養親の氏を称し、養子が未成年者の場合は親権は養親が行使します。

普通養子は実親との親子関係は継続されているため、実親・養親両方の扶養義務があり、相続権を取得します。これに対して特別養子縁組では実親との親子関係は断絶されているため、養子は養親のみに扶養義務があり、相続権を取得します。

養子の戸籍の記載

普通養子 特別養子
「養子」「養女」 「長男」「長女」

普通養子縁組の場合は、養子の続柄には「養子」「養女」と記載されます。

これに対して特別養子縁組の場合は、「長男」「長女」と記載され、一見では養子であることが分からないように記載されます。

離縁

普通養子 特別養子
協議離縁が可 協議離縁は不可

普通養子縁組は協議によって離縁することが出来ますが、特別養子縁組では協議による離縁は出来ず、家庭裁判所が養子の利益のため特に必要があると認めるときに限って離縁することができます。

養子縁組の比較に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
普通養子と特別養子では同じ養子縁組でも、手続きや要件等に違いがあるよね。特別養子は児童福祉のための制度なので、親族関係に大きな影響を与えるよね。だから、普通養子と比べると、厳格な基準が設けられているんだね。
電卓先生
電卓先生
特別養子縁組は子の福祉・利益を保護するための制度に対し、普通養子縁組は家の存続のため、相続権の付与のため、相続税対策のためなど様々な目的で利用されています。実際の利用件数も特別養子縁組が年間500件ほどに対し、普通養子縁組は年間8万件弱にのぼります。
情報屋先生
情報屋先生
普通養子縁組と特別養子縁組の大きな違いは、実父母との親子関係が継続するか否かという点ですね。それによって法定相続人になるか否かという点も違ってくるので、相続関係にも影響がでますね。
六法先生
六法先生
特別養子の審判申立ての要件の『特別の必要性の存在』については判断が難しいですね。例えば実親の養育能力に問題がある場合として、児童相談所等からあっせんを受けた場合などがこれにあたるようですね。

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