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相続・終活

『特別養子縁組』家庭裁判所への審判申立てと市区町村への届出の具体的手続き[相続・終活の基礎知識]

相続終活14特別養子縁組の家庭裁判所への審判申立てと届出

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は、「特別養子縁組の家庭裁判所への審判申立ての具体的手続き」について解説します。

特別養子縁組“は、戸籍上の現在の親との関係を断絶し、真っ新な親子関係を作り出す養子縁組のことをいいます。特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立します(民法817条の2)。

縁組が成立すると、縁組が成立した日から、養親の嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子)の身分を取得し、養子と養親及び養親の血族との間に親族関係が生じます。

家庭裁判所への審判申立て手続き

特別養子縁組をするには、家庭裁判所の審判が必要です。

誠実先生
誠実先生
特別養子縁組の審判申立て手続について具体的にみていきましょう。尚、申立人には養親となる者又は児童相談所長がなることができますが、以下では養親となる者が申立てる例について解説します。

申立人は、養親となる人又は児童相談所長です。申立先は、養親となる人の住所地の家庭裁判所です。(管轄の家庭裁判所一覧ページはこちら)

申立てに必要な費用は、申立書に貼付する収入印紙代800円分(※)、申立書に添えて提出する連絡用の郵便切手代になります。必要な郵便切手の種類と枚数は、家庭裁判所によって異なりますので、申立て先の家庭裁判所へお問合せ下さい。

※「特別養子縁組の成立の申立て」をする際に必要となり、「特別養子適格の確認の申立て」をする際は収入印紙は不要です。養子となる人1人につき800円分の収入印紙が必要です。

誠実先生
誠実先生
「特別養子縁組の成立の審判(申立て)」「特別養子適格の確認の審判(申立て)」については、前回の記事をご参照ください。

必要書類:特別養子適格の確認の申立て

特別養子適格の確認の申立てに必要な書類は以下になります。

①申立書
申立書は、裁判所のホームページからダウンロードできます。こちらの裁判所のホームページの「書式のダウンロード」の項目から、「特別養子適格の確認申立書(PDF)」のリンクをクリックすると、PDF形式で申立書が表示されます。申立書は、A4サイズで印刷してください。

②養子・実親の戸籍全部事項証明書
養子となる人・養子となる人の実父母の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要です。

必要書類:特別養子縁組の成立の申立て

特別養子縁組の成立の申立てに必要な書類は以下になります。

①申立書
特別養子縁組成立申立書と同様に、こちらの裁判所のホームページの「書式のダウンロード」の項目から、「特別養子縁組成立申立書(PDF)」のリンクをクリックすると、PDF形式で申立書が表示されます。申立書は、A4サイズで印刷してください。

②養親の戸籍全部事項証明書
養親となる人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要です。

申立て後の手続き

「特別養子適格の確認の審判」では、実親による養育状況や、実親の同意の有無等が審理対象となります。「特別養子縁組の成立の審判」では、養親と養子のマッチングが審理対象となります。必要に応じて家庭裁判所の調査官は、追加書類の提出を求めたり、聞き取り調査や家庭訪問をしたりします。

この2つの審理を経て、特別養子縁組をするのに適切であると判断される(審判確定)と、特別養子縁組が成立します。

成立後「審判書謄本及び確定証明書」を家庭裁判所で取得し、市区町村役場へ養子縁組届書等と合わせて届出をおこないます。

特別養子縁組届書の届出人・届出場所・必要書類

特別養子縁組は家庭裁判所の審判によって成立しますが、審判が確定したことを審判確定の日から10日以内に市区町村役場へ届出る必要があります。

届出人は、特別養子縁組の審判を請求した養親(養父又は養母)届出場所は、届出人(養親)の本籍地又は所在地の市区町村役場です。尚、特別養子縁組届に係る手数料は無料です。

誠実先生
誠実先生
必要書類は、以下になります。

①特別養子縁組届書
特別養子縁組届書は、提出する市区町村役場の窓口で取得できます。また、自治体によってはホームページから書式をダウンロードすることも可能です。

尚、市区町村によって多少の様式の違いがある場合がありますが、基本的には養子縁組届書の様式は全国共通です。提出先の市区町村のホームページからダウンロードできない場合は、他の市区町村のホームページでダウンロードしたものを使用しても構いません。ダウンロードした用紙は、A3サイズでプリントアウトして使用します。

届出人の署名押印欄には、養父及び養母が自署し、認印(実印でも可。シャチハタは不可)で押印します。

参考:大阪市の特別養子縁組届書の様式(PDF)

②養親・養子の戸籍全部事項証明書
養親及び養子の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要ですが、届出先の市区町村に本籍がある場合は、戸籍謄本は不要です。

自分の本籍地が分からない場合は、住所のある市区町村役場で「本籍地記載の住民票の写し」を取得して確認することができます。

③家庭裁判所の審判書謄本及び確定証明書
家庭裁判所の審判によって特別養子縁組が成立したことを証明するために、家庭裁判所の「審判書謄本及び確定証明書」が必要です。

誠実先生
誠実先生
特別養子縁組届書の基本的な必要書類は以上になります。自治体によって他に本人確認書類等の必要になる書類がある場合もありますので、不明な点は、市区町村に問い合わせてご確認下さい。

特別養子縁組届出後の戸籍の記載

特別養子縁組届書が届出されると、養子は実親の戸籍から除籍されます。その後、養親の氏を称した養子を筆頭者とする単独の戸籍が新たに編製されます。養子の新戸籍の父母欄には、養親の氏名が記載されることとなります。

その後、養子は養親の戸籍に入ります。養親の戸籍には、養子は「長男」や「長女」のように記載され、養子・養女といった記載はされません。養親の戸籍に記載された養子の従前戸籍の欄には、一度新たに作成された養子の新戸籍が記載されるため、実親の存在が養親の戸籍からは一見では分からなくなります。ただし、戸籍には「民法817条2による裁判確定日令和○年○月○日」と記載されますので、特別養子である旨がそこから分かるようにはなっています。

尚、住民票には「民法817条の2」の記載はされませんので、住民票を見ただけでは、特別養子であることが分かる手立てはありません。

特別養子縁組届出手続に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
特別養子縁組を選択肢として検討すべきではあるものの、特別養子縁組に関する障壁によって特別養子縁組が行えていない事案というのも数多くあるようです。その中でも「実親の同意」を得られないことが障壁となるケースが多いようです。
電卓先生
電卓先生
ここ最近の特別養子縁組件数は年間500件程度となっています。対象年齢引上げ等の民法改正に伴い、今後件数が増えていくことが考えられます。
情報屋先生
情報屋先生
パスポートを取る時や婚姻する時、遺産分割協議による不動産の名義変更手続きの時など、限られたタイミングでしか自分の戸籍を見る機会はありませんね。戸籍を見て初めて自分が特別養子であったことを知る方も多いようです。
六法先生
六法先生
特別養子縁組は実親との親族関係を断つという大きな効力を持ちますので、手続きには裁判所の関与が必要です。今回の改正によって二段階手続きが導入されることとなり、一見煩雑になったようにも見えます。しかし、制度利用の妨げとなっていた『実親の同意』の撤回制限(家事事件手続法164条の2第5項)が設けられるなど、制度利用促進の為に導入された制度のようですね。

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