養子縁組には、”普通養子縁組”と”特別養子縁組”があります。普通養子縁組については、以下の記事をご参照ください。
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特別養子縁組の要件
“特別養子縁組“は、戸籍上の現在の親との関係を断絶し、真っ新な親子関係を作り出す養子縁組のことをいいます。
要件①養親が原則25歳以上の配偶者のいる人であること
養親となる人は、原則25歳以上の配偶者のいる人(夫婦)でなければいけません。また特別養子縁組は、夫婦の一方が他の一方の嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子ども)の養親となる場合を除いて、夫婦が共同でする必要があります(民法817条の3)。
尚、夫婦のどちらかが25歳以上である場合は、もう一方の夫又は妻は、20歳以上であれば養親となることができます(民法817条の4)。
要件②養子が原則15歳未満であること
養子となる人は、家庭裁判所に審判を申立てするときに原則15歳未満でなければいけません(民法817条の5)が、①養子となる人が15歳に達する前から養親となる人に監護されていた場合、②やむを得ない事由により15歳までに申立てできない場合には、養子となる人が15歳以上であっても審判を申立てすることができます。
ただし、審判確定時に養子となる人が18歳に達している場合は、縁組不可とされています。
以前は、養子となる人の年齢は、原則6歳未満とされていましたが、近年の社会状況を鑑み、令和2年4月1日から養子となる人の年齢は原則15歳未満に引き上げられました。
要件③養子の同意
養子となる人が審判時に15歳に達している場合は、養子となる人の同意が必要です(民法817条の5第3項)。
また、15歳未満であっても、養子となる人の意思は十分に考慮しなければならないとされています。
要件④養子の父母の同意
特別養子縁組の審判を家庭裁判所へ申立てる際には、養子となる人の父母の同意が必要です(民法817条の6)。養子に実親だけではなく既に養親がいる場合は、養親も含まれます。
ただし、①父母がその意思を表示することができない場合、②父母による虐待、悪意の遺棄がある場合、③その他養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合は、父母の同意は不要です。
また、裁判所の期日等でした父母の同意は,2週間経過後は撤回することはできません。
要件⑤特別の必要性の存在
特別養子縁組をする際は、養子となる人の父母による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があることを要します(民法817条の7)。
監護が著しく困難又は不適当である理由は最終的には家庭裁判所によって判断されますが、父母による育児放棄(ネグレクト)、虐待、経済的な困窮等で育児がされていない場合等です。
要件⑥家庭裁判所の審判申立て、6カ月以上の試験養育
特別養子縁組を成立させるには、養親となる人又は児童相談所長が家庭裁判所へ特別養子縁組の審判を申立て、審判によって縁組が認められる必要があります。また、縁組を成立させるには、養親となる人が6カ月以上の養子の試験養育期間を経なければいけません(民法817条の8)。
特別養子縁組の審判には、①「特別養子適格の確認の審判」と、②「特別養子縁組の成立の審判」があります。①「特別養子適格の確認の審判」では、実親による養育状況や、実親の同意の有無等が審理対象となります。②「特別養子縁組の成立の審判」では、養親と養子のマッチングが審理対象となります。尚、養親となる人が①「特別養子適格の確認の審判」の申立てをするときは、②「特別養子縁組の成立の審判」の申立てと同時にしなければいけません。
この2つの審判を経て、特別養子縁組をするのに適切であると判断されると、特別養子縁組が成立します。
特別養子縁組の効果と離縁の制限
特別養子縁組が成立すると、以下のような効果が生じます。
特別養子縁組成立の効果
特別養子縁組が成立すると、縁組が成立した日から、養親の嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子)の身分を取得します。また、養親の血族との間に親族関係が生じます。
また、①(未成年者の場合)養親が親権を行使、②原則※養子は養親の氏を称する、③扶養義務が生じる、④相続権を取得するといった効果があります。(※婚姻して改氏した者が、婚姻中に養子になる場合は、婚姻中は養親の氏になることなく、そのまま改氏した氏を称します。)
そして、(夫婦の一方が他方の嫡出子である連れ子を特別養子とする場合を除いて、)養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します。特別養子の戸籍の記載は実子と同じように「長男」や「長女」となり、一見では特別養子であることは分からないように記載されます。
離縁の制限
特別養子縁組は、以下の2つの要件を全て満たす場合は、家庭裁判所が養子の利益のため特に必要があると認めるときに限り、離縁させることができます。普通養子縁組のように、協議による離縁はできません。
- 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること
- 実父母が相当の監護をすることができること
尚、家庭裁判所への特別養子縁組の離縁の請求が出来るのは、養子、実父母又は検察官であり、養親からの請求はできません。
離縁が成立すると、離縁の日から、養子と実父母及びその血族との親族関係が復活することになり(縁組前の戸籍へ復籍する)、養子(であった人)は、縁組前の氏を称することになります。













