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相続・終活

普通養子縁組の離縁とは?協議離縁/調停離縁/審判離縁/裁判離縁の要件と手続・効果[相続・終活の基礎知識]

相続終活12普通養子縁組の離縁

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は、「普通養子縁組の離縁」について解説します。

前回までに、普通養子縁組の概要と、普通養子縁組をする際の具体的な手続きについてご紹介しました。普通養子縁組とは、戸籍上の現在の親との関係を継続したまま、2重の親子関係を作り出す”ことをいいます。

縁組関係を解消する手続きをしない限りは、養子との縁組関係は継続します。しかし、普通養子縁組をした後に、様々な理由で縁組関係を解消することがあります。例えば、結婚相手の連れ子と普通養子縁組した後に離婚した場合でも、養子縁組関係はそのまま続きます。連れ子との養子縁組関係を解消したい場合は、縁組を解消する手続が必要です。このように、養子縁組関係を解消することを「離縁」といいます。

離縁の方法には、①養親と養子が話し合って離縁の合意をする「協議離縁」、②裁判所の関与により離縁する「調停離縁・審判離縁・裁判離縁」、③養親又は養子が死亡した後に、生存している当事者から離縁する「死後離縁」があります。

普通養子縁組の離縁は、市区町村役場へ離縁届を提出し、受理されることで成立します。

誠実先生
誠実先生
ここからは、協議離縁・調停離縁・審判離縁・裁判離縁・死後離縁の要件と、離縁するとどうなるか(離縁の効果)について解説します。

協議離縁の要件・手続

①離縁の意思
協議離縁は、養親と養子の合意で離縁します。よって、養親と養子に真に離縁をする意思があることが必要です。養子が未成年であっても、15歳以上であれば、単独で離縁をすることができます。

養子が15歳未満であれば、離縁した後にその養子の法定代理人となる人が、養子に代わって離縁の成立させます(これを代諾離縁(だいだくりえん)といいます)。例えば、養親両方と離縁する場合は、実親の親権に服することになるため、実親が法定代理人として代諾離縁します。

養親が夫婦である場合に未成年者と離縁するには、夫婦が共にしなければいけません(民法811条の2)。ただし、夫婦の一方が心神喪失や行方不明等の理由で意思表示できない場合は、夫婦の一方で単独で離縁することが出来ます。

②養子離縁届書の届出
養親及び養子が、養親又は養子の本籍地又は所在地の市区町村役場へ養子離縁届書を届出し、受理されることで離縁が成立します。尚、養子が15歳未満の場合は、離縁後の法定代理人が届出人となります。

届出する際の必要書類等は以下になります。

①養子離縁届書
養子縁組届書の証人欄に、成人に達した方2名の署名捺印が必要です。養子離縁届書は、提出先の市区町村役場の窓口や、ホームページからダウンロードできます(参考:大阪市の養子離縁届(PDF))。ダウンロードしたPDFは、A3サイズで印刷して使用します。

②戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
養親及び養子の戸籍謄本が必要ですが、届出場所に本籍がある場合は不要です。

③養親及び養子の印鑑
養子が15歳未満の場合は、法定代理人の印鑑が必要です。

④養親及び養子の本人確認書類
運転免許証、パスポート等の本人確認書類が必要です。

調停離縁・審判離縁・裁判離縁の要件と手続

協議により離縁がまとまらなかたった場合は、裁判所の関与によって離縁を成立させることができます。裁判所が関与する離縁には「調停離縁」「審判離縁」「裁判離縁」の3つの離縁の種類があります。

調停離縁は、養親又は養子(養子が15歳未満の場合は離縁後の法定代理人)が申立人となり、相手方の住所地又は当事者が合意で定める家庭裁判所へ調停の申立書を提出します。申立書には1200円分の収入印紙を貼付し、①申立書の写し1通、②養親及び養子(養子が未成年者の場合は、離縁後に親権者となる人)の戸籍謄本、③連絡用の郵便切手を添えて提出します。離縁調停の申立書は、こちらの裁判所のホームページからダウンロードできます。郵便切手の種類と枚数は家庭裁判所によって異なるので、申立書提出前に家庭裁判所にご確認ください。

調停では、調停委員が当事者(養親と養子)の間に入って解決のための助言をしながら、話し合いを進めます。調停で話し合いがまとまれば調停成立となりますが、調停が不成立となった場合は、家庭裁判所の裁判官が相当と認めるときに審判へと移行(審判離縁)します。

協議離縁・調停離縁・審判離縁でも離縁が成立しなかった場合は、離縁裁判の訴えを家庭裁判所へ提起することができます(裁判離縁)。離縁請求の訴えの管轄裁判所は、当事者のどちらか一方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。離縁裁判の訴えができるのは、以下の3つのいずれかに該当する場合のみとされています(民法814条第2項)。尚、以下3つのうちのいずれかに該当する場合でも、家庭裁判所が一切の事情を考慮して縁組の継続を相当と認めるときは、離縁の請求が棄却されることがあります。

  1. 他の一方から悪意で遺棄されたとき
  2. 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき
  3. その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき

 

離縁の判決が確定したら、裁判所で判決書の謄本と確定証明書を取得します。

調停離縁・審判離縁・裁判離縁の成立後には、市区町村役場への養子離縁届書の提出が必要です。必要書類等は、協議離縁の際の必要書類①~④に加えて、「調停調書の謄本」又は「審判書の謄本及び確定証明書」又は「判決書の謄本及び確定証明書」です。

死後離縁の要件と手続

死後離縁とは、養親又は養子のどちらか一方が死亡した後に縁組を解消する離縁のことをいいます。どちらかが死亡しても、離縁をしない限りは縁組関係は継続します。

死後離縁をするには、家庭裁判所の許可が必要です。生存している養親又は養子が申立人となり、申立人の住所地の家庭裁判所へ死後離縁の許可の申立をします。申立書には800円分の収入印紙を貼付し、①養親及び養子の戸籍謄本、②連絡用の郵便切手(郵便切手の種類と枚数は家庭裁判所によって異なります)を添えて提出します。死後離縁許可の申立書は、こちらの裁判所のホームページからダウンロードできます。尚、死亡している方の戸籍は死亡の記載のある戸籍(又は除籍又は改製原戸籍)謄本が必要です。

協議離縁や裁判上の離縁と同様に、死後離縁の場合も、市区町村役場への届出が必要です。

誠実先生
誠実先生
ステイ法務では、裁判所への調停申立書や裁判離縁をする際の訴状の作成・相談を承っております。裁判所へ提出する離縁の関係書類の作成相談はお気軽にお問合せください。

離縁した後はどうなる?離縁の効果

離縁が成立すると、当事者(養親又は養子であった人)に、以下のような影響が生じます。

効果①親族関係の終了

離縁によって、養子と養親、及び養子と養親の血族との間に生じた親族関係は終了します(民法729条)。養親の戸籍から養子が抜けて、養子は縁組前の元の戸籍に戻ります。

離縁の効果は将来に向かって生じます。ですので、死後離縁の場合でも、一方の当事者の死亡時にまで遡って離縁が成立するわけではなく、死亡時には相続が既に発生しているので、死後離縁をしたとしても相続関係に影響が出ることはありません。相続により取得した財産が既にあった場合でも、それを返還する必要もありません。

また、養子が未成年者であった場合は、養親の親権は消滅し、養子は実親の親権に服することになります。

効果②復氏

離縁によって、原則、養子の氏は縁組前の氏に戻ります(復氏)。ただし、夫婦共同で縁組した後に、夫婦の一方のみと離縁をした場合は、復氏することなく養親の氏のままとなります(民法816条第1項)。

尚、縁組の日から7年を経過した後に離縁によって縁組前の氏に復した場合は、離縁の日から3か月以内に、届出人の本籍地または所在地の市区町村役場へ届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができます(民法816条第2項)。この届出には、①離縁の際に称していた氏を称する届書(市区町村役場にあります)、②戸籍謄本(本籍地のある市区町村役場へ届出る場合は不要)、③認印、④本人確認書類が必要です。

普通養子縁組の離縁に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
離縁が成立した場合は、養子と養親の親族関係が終了しますので当然に相続権もなくなります。
電卓先生
電卓先生
離縁請求権は一身専属権なので相続の対象とはなりません。したがって、養親が提起した離縁裁判は、養親が死亡した場合は終了することになります。
情報屋先生
情報屋先生
離縁意思のない協議離縁は当然に無効になりますね。これは縁組意思がない縁組が無効であるのと同じですね。
六法先生
六法先生
離縁は親族関係の解消という極めて重大な効力が生じます。したがって、協議離縁の場合は離縁意思、審判等による場合であっても要件(民法814条)が必要となります。離婚とよく似た制度であり、取るべき最善の方法はそれぞれ異なりますので、よく考えて実行しましょう。

 

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