養子縁組とは、血縁関係にない当事者の合意によって、新たに親子関係を成立させることをいいます。
養子縁組によって作り出された子を”養子“、親を”養親“と言います。
養子縁組には、戸籍上の現在の親との関係を継続したまま、2重の親子関係を作り出す”普通養子縁組“と、戸籍上の現在の親との関係を断絶し、真っ新な親子関係を作り出す”特別養子縁組“があります。
今回は普通養子縁組についてご紹介します。
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普通養子縁組の要件
普通養子縁組は、養親と養子※が、養親又は養子の本籍地又は所在地の市区町村役場へ、養子縁組届書を提出することによって成立します。
※15歳未満の養子は、縁組の承諾をした法定代理人が届出人になります。
要件①養親が成年に達していること
養親となる人は、成年(20歳以上)に達していることが必要です。20歳未満の方は、養親になることは出来ません。
ただし、婚姻をすると成年に達した者とみなされるので、婚姻歴がある人は養親になることができます。
令和4年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられます(民法の一部改正施行)。
これにより、養親になる人の年齢に関する条件は「成年に達した者」から、養親になることの責任の重大さを考慮し、「20歳に達した者」に変更されます(民法792条、令和4年4月1日施行)。
また、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす(民法753条)」という成年擬制の条文は削除されます。つまり、現行民法では婚姻歴があれば、20歳未満であっても養親になることができましたが、令和4年4月1日からは婚姻歴があっても20歳未満の人は養親になることができません。
要件②養子が、養親の嫡出子又は養子ではないこと
嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子どものことを言います。
普通養子縁組は、新たに親子関係を作り出す手続きですので、既に親の戸籍に入っている嫡出子を養子にすることはできません。また、既に養子になった者を、2重に同じ養親の養子にすることも出来ません。
要件③養子が養親の年長者又は尊属ではないこと
自分より年上の人を、養子にすることはできません。
また、年下であっても、尊属を養子にはできません。尊属とは、父母や祖父母、叔父、叔母のように、自分より上の世代の人のことを言います。
要件④後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得ていること
後見人とは、簡単にいうと、判断能力に問題がある人(被後見人)をサポートする人のことです。
後見人には、”未成年後見人“と”成年後見人“がいますが、どちらの場合でも、後見人が被後見人を養子にする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
民法838条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二 後見開始の審判があったとき。
要件⑤配偶者のある方が未成年者を養子にする場合は、夫婦が共同して縁組をすること
配偶者のある方が未成年者を養子にする場合には、原則として、夫婦が共同して養親になる必要があります。一方が反対している養子縁組は、全体として無効になります。
ただし、①配偶者の嫡出子を養子にする場合や、②配偶者が心神喪失や行方不明等の理由で意思表示ができない場合は、夫婦の一方だけで単独で未成年者と縁組をすることができます。
①配偶者の嫡出子を養子にする場合は、夫婦の一方が単独で養親になれますが、配偶者の同意は必要です。夫婦の一方の養子になることによって、相続分に影響が出るためです。②配偶者が心神喪失や行方不明等の理由で意思表示ができない場合は、同意を得ることが難しいので、同意は不要です。
また、配偶者の非嫡出子(法律上の婚姻関係にない父母から生まれた子ども)を養子にする場合は、原則通り夫婦共同での縁組が必要です。
要件⑥養子又は養親に配偶者がいる場合は、配偶者の同意を得ていること
養子が結婚していて配偶者がいる場合、又は養親が結婚していて配偶者がいる場合は、その配偶者の同意を得ることによって、夫婦の一方が単独で養子縁組できます。
ただし、夫婦がともに養親になる場合や、一方の配偶者が心神喪失や行方不明等の理由で意思表示できない場合は、同意は不要です。
要件⑦養子が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可を得ていること
養子が未成年者である場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
ただし、自己の直系卑属(例えば、祖父が孫を養子にする場合)や、配偶者の直系卑属(配偶者の連れ子)を養子とする場合は家庭裁判所の許可は不要です。
要件⑧養子縁組の意思があること
普通養子縁組をするには、養親・養子ともに、養子縁組をする意思が必要です。当事者に養子縁組の意思がない場合は、その養子縁組は当然に無効になります。
養子は、未成年者であっても15歳以上であれば単独で養子縁組出来ますが、15歳未満の場合は、親権者等の法定代理人が未成年者に代わって縁組の承諾をします(代諾縁組)。
※親権者以外に養子となる人に監護者がいる場合は、その監護者の同意も必要になります。
要件⑨養子縁組届書を市区町村役場へ届け出すること
普通養子縁組は、養子縁組届書を市区町村役場へ届け出ることによって成立します。
- 養親が成年に達していること
- 養子が、養親の嫡出子又は養子ではないこと
- 養子が養親の年長者又は尊属ではないこと
- 後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得ていること
- 配偶者のある方が未成年者を養子にする場合は、夫婦が共同して縁組をすること
- 養子又は養親に配偶者がいる場合は、配偶者の同意を得ていること
- 養子が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可を得ていること
- 養子縁組の意思があること
- 養子縁組届書を市区町村役場へ届け出すること
普通養子縁組の効果
普通養子縁組が成立すると、縁組の日(養子縁組届出書を市区町村役場へ届け出た日)から、養親の嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子)の身分を取得します。また、養子と養親の血族との間には、親族関係が生じます。
普通養子縁組が成立することによって、①親権、②氏、③扶養義務、④相続権に関して影響が出ます。
効果①親権は養親が行使する
普通養子縁組では、実親との親子関係は切れずに養親との親子関係が生じますが、養子が未成年者であった場合は、親権は養親が行使することになります。
尚、養親(養父)と実親(実母)が婚姻した場合は、養親(養父)と実親(実母)が共同して親権を行使します。
効果②養親の氏になる
養子は、原則として養親の氏を称します。
ただし、婚姻して改氏した者が、婚姻中に養子になる場合は、婚姻中は養親の氏になることなく、そのまま改氏した氏を称します。
例:婚姻して妻(旧姓:田中)が夫の氏(佐藤)になった後に、妻が養子縁組した場合は、婚姻中は養親の氏(山本)になることなく、そのまま夫の氏(佐藤)を称します。
効果③④実親と養親両方の扶養義務・相続権の発生
養子には、実親と養親の両方を扶養する義務が生じます。また、養子には、実親と養親の両方の相続権が生じます。













