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相続・終活

(改正相続法)寄与分とは?計算方法と特別寄与料請求権の新設[相続・終活の基礎知識]

相続終活22寄与分と特別寄与料請求権

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は、「寄与分」について解説します。

寄与分とは、簡単に言うと、被相続人の財産の維持や増加について、何らかの貢献をした相続人に対して与えられる「相続分の上乗せ分」のことをいいます。

“何らかの貢献”とは、「被相続人の療養看護をしていた」「被相続人が営む事業に、ほぼ無償で労務を提供した」「資金援助をして家計維持に努めた」等があげられます。

寄与分が認められるためには、その行為が財産の維持増加について”特別の寄与“をしたことが必要であり、例えば家事育児のような通常の寄与は寄与分としては認められません。

また、寄与分を受けられるのは相続人だけなので、内縁の妻等の相続人でない方には寄与分はありません。

相続人がした行為が特別の寄与であり、寄与分を認めるか否かは、まずは相続人間の話し合いによって決めます。話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所へ調停を申立てます。調停でも解決しない場合には、家庭裁判所による審判によって判断されることになります。

寄与分がある場合の相続分の計算方法

寄与分は「相続分の上乗せ分」であると先に説明しました。特別の寄与をして被相続人の財産の維持増加に努めた相続人が、その働きを無視されて他の相続人と同じように相続分を決められてしまうのは不公平ですね。寄与分が認められる場合は、寄与分を考慮した相続分の計算をします。

寄与分を受ける相続人の具体的相続分は、以下の計算式で算定します。

寄与分を考慮した相続分の計算方法

みなし相続財産(相続開始時の相続財産額 ー 寄与分額) × 法定相続分 + 寄与分額

誠実先生
誠実先生
計算式だけではイメージがしにくいですね。具体例でみていきましょう。

被相続人(亡)甲の相続人が、妻A、子B、子Cの3人だったとします。

子Bは、生前に(亡)甲の療養看護をしたとして、1,000万円の寄与分が認めれられました。(亡)甲の死亡時の相続財産は、現金5,000万円のみだったとします。

この場合のそれぞれの相続分は以下のようになります。

相続人 ①(相続開始時の相続財産額 ー 寄与分額) ②×法定相続分 ③+寄与分額 ④具体的相続分
妻A 4,000万円(5,000万円-1,000万円) ×1/2=2,000万円 2,000万円
子B ×1/2×1/2=1,000万円 +1,000万円 2,000万円
子C ×1/2×1/2=1,000万円 —- 1,000万円

①みなし相続財産の算定

まずは、相続開始時の財産である現金5,000万円から、子Bの寄与分額1,000万円を引いて、みなし相続財産の額を算定します。今回は、5,000万円-1,000万円=4,000万円となります。

なお、被相続人が遺言で遺贈をしていた場合は、遺贈が優先されます。寄与分は、相続財産の額から遺贈の額を控除した額をもとに計算します。例えば、先の例で被相続人が現金5,000万円を第三者に遺贈し、相続財産がなくなった場合は、寄与分は0となります。

②×法定相続分

次に、①で算定した4,000万円に、妻A、子B、子Cの法定相続分をかけて、それぞれの相続分を算定します。

法定相続分は、妻A 1/2、子B 1/4(1/2×1/2)、子C 1/4(1/2×1/2)です。

それぞれの相続分は、妻A 4,000万円×1/2=2,000万円、子B 4,000万円×1/4=1,000万円、子C 4,000万円×1/4=1,000万円となります。

③+寄与分額、④具体的相続分

次に、寄与分が認められる相続人がいる場合は、②で算定した相続分に、寄与分額をプラスします。

妻Aには寄与分はないので、プラス分はなく、具体的相続分は②で算定した2,000万円になります。

子Bには寄与分1,000万円がありますので、②の1,000万円に寄与分額1,000万円を足した額=2,000万円が具体的相続分になります。

子Cには寄与分はないので、プラス分はなく、具体的相続分は②で算定した1,000万円になります。

誠実先生
誠実先生
寄与分を考慮した具体的相続分の計算のポイントは、「寄与分を引いてから、寄与分を足す」ことです。この点、別の記事でご紹介している特別受益を考慮した具体的相続分の計算方法(贈与額を足してから、特別受益分を引く)とは異なりますので、ご注意ください。

特別寄与料請求権の新設(改正相続法)

「寄与分は相続人にしか認められない」と、先に説明しました。

ここで問題になるのが、相続人以外が特別の寄与をした場合に、それは無視されるのかといったことです。

特別寄与料請求権1例えば、長男の嫁が義理の父の療養看護を無償でしていた場合、義理の父が亡くなっても長男の嫁は相続人ではないので、寄与分はもちろんのこと、相続権さえなく義理の父の相続財産を受け取ることができません。

こういった問題を解決するために、2019年7月1日に施行された民法により、相続人以外の被相続人の親族について療養看護等の特別の寄与をした方がいた場合には、その親族※は、相続人に対して特別の寄与に応じた金銭を請求することができるようになりました

※特別寄与料を請求できるのは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。内縁の妻はこの中には含まれませんので、無償の療養看護をしたとしても、特別寄与料を請求することはできません。

特別寄与料は、自動的に相続財産から分け与えられるものではなく、特別の寄与をした親族が、相続人に対して金銭請求をして初めて取得できるものです。請求された相続人は自分の取り分が減るため、特別寄与料を認めずに、争いに発展する恐れもあります。

こういった事態を防ぐためには、看護日記をつけておいたり、療養看護に関する出費をした際のレシートや領収書を残しておくなど、特別の寄与をしたことが客観的に分かる証拠を残しておくことも大切です。

寄与分に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
相続人間できちんと話し合いができる環境であれば、寄与分を認めると言う話はしやすいのかもしれないね。これからは介護を家族でしなければならないことが増えてくると思うので、制度を理解しておくことは重要かもしれないね。
電卓先生
電卓先生
特別寄与料を受け取った人は被相続人から遺贈により特別寄与料を取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。特別寄与者は法定相続人ではないため、相続税がかかる場合には2割加算の対象となるものと考えられます。
情報屋先生
情報屋先生
平成30年の相続法改正で特別寄与料請求権が創設されたことで、被相続人の療養看護に努めた相続人以外の親族が相続人に金銭請求できるようになりましたね。しかし実際問題、長男の嫁が相続人に対して請求するのは躊躇われるかもしれません。被相続人が療養看護してくれた人に対して何か渡したいと思った場合は、遺贈や生前贈与で金銭を分け与えるといった方法もありますね。
六法先生
六法先生
上記寄与分(民法904条の2)と特別寄与分(民法1050条)の『寄与』は範囲が異なることに注意を要します。端的に従来の寄与分のほうが範囲が広く、特別の寄与として予定されているのは”労務の提供”です。また請求期間も定まっているので、その辺りも利用する場合は意識する必要がありますね。

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