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税金・特例/控除

贈与税の基礎知識~控除・非課税特例について[配偶者控除/住宅取得資金/教育資金/結婚・子育て資金](電卓先生の税金解説)

税金8贈与税(控除と非課税特例)

電卓先生
電卓先生
贈与税には生前に財産移転を促進するための特例措置が設けられています。今回はその特例等について注意点等も含めて解説します。

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例です。

要件

  • 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること
  • 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

 

適用を受けるための手続

次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要です。

  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  • 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
  • 居住用不動産の贈与を受けた場合は、居住用不動産を評価書類(固定資産評価証明書など)

 

注意点

相続に比べ登録免許税等のコストが大きくなる

相続または贈与する財産が不動産の場合、登録免許税といったコストがかかります。相続で所有権を移した場合の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で済みますが、贈与で所有権を移した場合の登録免許税は2.0%となります。また、不動産取得税についても、相続による取得についてはかかりませんが、贈与だとかかります。

小規模宅地の特例は利用できない

相続税の計算時においては、居住用宅地などで一定の要件を満たす場合は小規模宅地の特例を利用することによって最大80%評価額を減額することができます。この特例はあくまでも「相続時」に使える特例であり、「贈与時」に使うことはできません。

相続時は配偶者控除がある

相続時には1億6,000万円の配偶者控除の枠があります。したがって、相続財産がそれほど多額でなく、円満な遺産分割協議ができるのであれば、相続時に負担なく配偶者に居住用不動産を残すことは十分に可能です。2,000万円の贈与は非課税になりますが、生前贈与が本当に必要なのか、よく検討しましょう。

住宅取得資金の非課税の特例

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)から自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)の贈与を受けた場合には、次の非課税限度額までの金額について、贈与税がかからないという特例です。

住宅用家屋の新築等に係る消費税等の税率が10%である場合以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 800万円 300万円

 

住宅用家屋の新築等に係る消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円 700万円

 

受贈者の要件

  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること
  • 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること
  • 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること

 

 

住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件

新築又は取得の場合

  1. 国内にあること
  2. 床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
  3. 取得した住宅が次のいずれかに該当すること
  • 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
  • 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
  • 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの

 

増改築等の場合

  1. 国内にあること
  2. 増改築等後の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
  3. 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること
  4. 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること

適用を受けるための手続

住宅取得資金の非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出することが必要です。

教育資金の非課税制度

平成25年4月1日から令和3年3月31日までの間に、30歳未満の人が、教育資金に充てるため金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等により証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権等のうち1,500万円までは贈与税が非課税となる制度です。

電卓先生
電卓先生
30歳未満の子や孫に対して教育資金として贈与したときは1,500万円まで贈与税をかけませんよ、ただし、金融機関に信託等してくださいね」ということです。
教育資金とは?

学校等に対して直接支払われる入学金、授業料等や学用品の購入費、学校給食費等の学校等における教育に伴って必要な費用をいいます。
また、学校等以外の者に対して直接支払われる学習塾や水泳教室等の費用も対象となりますが、学校等以外の者に支払われる金銭等については500万円が限度となります。なお、令和元年7月1日以後に学校等以外の者に対して支払われる教育資金については、受贈者が23 歳以上の場合には教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限られ、趣味の習い事等の費用は除外されています。

受贈者の所得要件

平成31年4月1日以後、贈与前年の所得金額が1,000万円を超える場合は適用を受けることができません。

適用を受けるための手続

金融機関等で教育資金口座の開設等を行った上で、教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等を経由して受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

注意点

金融機関に領収証等を提出しなければならない

この制度を利用するには金融機関に信託等をする必要があり、教育費を支出したときは領収書等を金融機関に提出して払い出す必要があります。

30歳に達すると贈与税の対象となる

1,500万円まで非課税で贈与することができますが、仮に大学進学しなかったりして思ったほど教育費がかからなかった場合など、30歳までに使い切れなかった場合は、残額に対して贈与税が課されることになります。なお、30歳に達しても在学等している場合は非課税期間は延長されます。

3年以内に贈与者が死亡すると相続税の対象となる

贈与者が死亡した場合において、その死亡前3年以内にこの非課税制度の適用を受けているときは、その死亡の日における残額をその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象となります。ただし、その死亡の日において次のいずれかに該当する場合は除きます。

  • 23歳未満である場合
  • 学校等に在学している場合
  • 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合

 

この規定は令和元年度の税制改正において追加されました。平成31年3月31日までにこの非課税制度の適用を受けているときは相続税の対象とはなりません

そもそも都度教育費を負担すれば課税されない

扶養義務者から生活費・教育費に充てるために受けた財産で通常必要と認められるものは贈与税の課税対象外となっています。大学の入学金であるとか、学費であるとかは、その都度祖父母などが負担したところで贈与税はかかりません。

結婚・子育て資金の非課税制度

平成27年4月1日から令和3年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の人が、結婚・子育て資金に充てるため金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等により証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権等のうち1,000万円までは贈与税が非課税となる制度です。

電卓先生
電卓先生
教育資金の非課税制度と同様の考え方です。
「20歳以上50歳未満の子や孫に対して結婚・子育て資金として贈与したときは1,000万円まで贈与税をかけませんよ、ただし、金融機関に信託等してくださいね」ということです。
結婚・子育て資金とは?

結婚費用:挙式費用、婚礼(結婚披露)費用、新居費用、引越費用等の結婚に際して支払う費用
子育て費用: 不妊治療・妊婦健診、分べん費等・産後ケア、子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)等の妊娠、出産及び育児に要する費用
なお、結婚費用については300万円が限度となります。

受贈者の所得要件

平成31年4月1日以後、贈与前年の所得金額が1,000万円を超える場合は適用を受けることができません。

適用を受けるための手続

金融機関等で結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で、結婚・子育て資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等を経由して受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

注意点

金融機関に領収証等を提出しなければならない

この制度を利用するには金融機関に信託等をする必要があり、結婚・子育ての費用を支出したときは領収書等を金融機関に提出して払い出す必要があります。

50歳に達すると贈与税の対象となる

1,000万円まで非課税で贈与することができますが、50歳までに使い切れなかった場合は、残額に対して贈与税が課されることになります。

贈与者が死亡すると相続税の対象となる

贈与者が死亡した場合には、その死亡の日における残額をその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象となります。ただし、相続税額の2割加算の対象とはなりません。

そもそも都度結婚・子育て費用を負担すれば課税されない

扶養義務者から生活費・教育費に充てるために受けた財産で通常必要と認められるものは贈与税の課税対象外となっています。結婚式費用であるとか、保育料であるとかは、その都度祖父母などが負担したところで贈与税はかかりません。

贈与税の特例に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
マイホーム購入時、資金の一部を親に出資してもらうということは珍しいことではありません。住宅取得資金の非課税の特例については、購入時の決済現場でご案内することがありますね。
電卓先生
電卓先生
政策上、生前の財産移転を促すために特例が設けられていますが、どの特例についても相続までの財産移転のプランを含めて利用の要否を検討する必要があります。目先のことだけでなく相続までの長期的な視野で考えましょう。
情報屋先生
情報屋先生
先日、夫婦で共有名義にしていた不動産の夫名義の所有権持分を、贈与を原因として妻へ名義変更をする登記申請代理の依頼をされました。依頼者は税理士から勧められて名義変更をするに至ったそうです。贈与税の配偶者控除を使う時の注意点を考慮しても尚、贈与を原因とする名義変更をした方が良いと判断されたようです。贈与をする際には贈与税の特例が使えるから贈与するのではなく、その他の税や特例(登録免許税や相続時に使える控除の特例)のことも検討した上で今贈与すべきなのかを検討した方が良いですね。
六法先生
六法先生
教育資金の特例は1,500万円までは一括贈与をすることができるのが大きなメリットと言えますね。この特例とは異なり教育資金を贈与する場合は元々非課税となっていますが、これには一つ条件があり、必要な都度贈与することが必要となっています。例えば孫に一括して教育資金の贈与を行いたい場合にこの制度を、それ以外の場合には必要な都度贈与を行うというように、使い分けをする事が考えられますね。

 

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