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相続・終活

相続欠格とは?~要件と効果:相続に与える影響~[相続・終活の基礎知識]

相続終活3相続欠格

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は「相続欠格」について解説します。

相続欠格とは?法律上当然に相続資格が剥奪される

相続欠格とは、本来であれば相続人になる人が犯罪を犯すことで、法律上当然に相続権を奪われることをいいます。相続欠格は、要件に当てはまると”法律上当然”に相続資格が剥奪されるため、遺言者の遺志は関係ありません。

誠実先生
誠実先生
相続欠格になる要件を見ていきましょう。次のいずれかの要件に当てはまると、相続欠格者となります。

相続欠格の要件①:故意の犯罪

①故意に②被相続人や先順位・同順位の相続人を③殺人又は殺人しようしたために④刑に処せられた人は、相続欠格者となります(民法891条1号)。

①殺人や殺人しようとすることには、意図的な意思(=故意)が必要です。本人に殺人の意図は無かったけれども死亡してしまった場合(過失致死)や、暴行や傷害だけをしようと思っていたのに、結果的に死亡してしまった場合(傷害致死)は、殺人や殺人しようとした故意がないので、相続欠格の要件には当てはまりません。

②被相続人を殺人又は殺人しようとしたら相続欠格になるのは言わずもがなですね。そのような人は相続権が無くなって当然です。

相続欠格:先順位相続人を殺害先順位の相続人を殺害した人が相続欠格者にならなければ、殺害された相続人が生きていたなら相続人にはならなかった殺人者が相続人になってしまいます。又、自分が相続人になるために殺害しようとする行為も、相続人にはなり得ない行為ですね。

また、兄が弟を殺害するといったように、同順位の相続人を殺害すると、自分の相続分が増えますね。同順位の相続人を殺人又は殺人しようとしても相続欠格となります。

③殺人又は殺人しようとすることについて、既遂・未遂は問いませんので、例えば殺人をしようとして毒薬を準備したこと(刑法205条の殺人予備罪)も、この要件に当てはまります。

④そして、殺人又は殺人しようとしたために刑に処せられた(=実刑判決が確定した)ことも要件となります。

誠実先生
誠実先生
④の要件に関して、執行猶予付きの刑の言い渡しを受けた場合には、罪を犯さずに執行猶予期間が過ぎると刑の言い渡しは効力を失うため、刑に処せられたことにはならず、よって相続欠格の要件を欠くことになります。

相続欠格の要件②:殺害を知っていて黙っている

相続欠格:黙秘告訴や告発する能力がある人が、被相続人が殺害されたことを知っていたにも関わらず、これを告発せず、又は告訴しなかった人は、相続欠格者となります(民法891条2号)。

告発は被害者と犯人以外の第三者が、告訴は被害者やその法定代理人等(告訴権者)が、検察関係者等の捜査機関に対して、犯罪の事実を知らせて訴追・処罰を求めることです。

被相続人が殺害されたことを知っていたのを黙っているのに、しれっと相続人になれるは道理にかないませんね。

ただし、殺害者が自分の配偶者または直系血族(ex.父から見た子)であった時に、告発又は告訴をしなかった相続人は、相続欠格者とはなりません。これは、配偶者や子供を告発又は告訴しにくい事情を考慮したものです。

相続欠格の要件③④⑤:遺言への不当な干渉

③詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた人(民法891条3号)、

相続欠格者
相続欠格者
おい、俺に不利なように遺言を書き直したら許さないぞ。メッタメタのギッタギタにしてやる。

詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた人(民法891条4号)、

相続欠格者
相続欠格者
おい、俺に有利なように遺言を書け。書かないとメッタメタのギッタギタにしてやる。

⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した人(民法891条5号)は、相続欠格者となります。

相続欠格者
相続欠格者
俺に不利な遺言書じゃないか!捨ててやろう。
誠実先生
誠実先生
③④⑤をまとめると、「遺言へ不当な干渉をした人は相続欠格者になる」といえますね。

相続欠格になると、どうなる?

相続欠格と代襲相続相続欠格者は、法律上当然に相続権を失うので、相続人にはなれません

また、例えば親が祖父を殺害した場合、親は相続欠格者となり、代襲相続がおこります。この場合、子が祖父の相続人となります。

※代襲相続については、前回解説していますので、詳細は前回の内容をご参照ください。

相続欠格の効果は、被相続人との間で相対的に発生しますので、例えば、父親を殺害した子は、父方の祖父母の代襲相続人にはなりませんが、母方の祖父母の代襲相続人になることはできます。母方の祖父母が亡くなっても、父は母方の祖父母の相続人にはなりません。父が子に殺害されても、母方の祖父母の相続関係には影響がでないからです。

また、相続欠格の効果は、相続時に遡って発生します。

例えば、被相続人が死亡した後に、不当な利益を得る目的で遺言書を破棄した相続人は、相続欠格者となり相続権を剥奪されます。この場合、その相続欠格者である(元)相続人は、初めから相続人でなかったことになるため、相続手続きが進んでいた場合でも、初めからやり直しになります。

誠実先生
誠実先生
今回は、相続欠格の要件とその効果について解説しました。

相続欠格に関する司法書士と税理士の会話

誠実先生
誠実先生
相続欠格は戸籍を見てもわかりませんので、司法書士などに相続手続きを依頼する際は申し出をしていただく必要があります。手続きをする際に証明するものがないため、相続欠格者の協力が必要となるのですが、現場目線だと非常に難しいような気がしますね…
電卓先生
電卓先生
遺言書を破棄、隠匿した場合であっても、相続に関して不当な利益を目的にするものでなかったときは、相続欠格者にあたらないという判例がありましたね。
情報屋先生
情報屋先生
相続欠格は廃除と違って受遺能力(遺贈を受ける能力)も奪われるから、遺贈も受けられないよね。もし相続欠格者に何か財産を渡したいと思うことがあるならば、生前贈与するか、生命保険の場合は受取人を相続欠格者に指定しておくかしかないかな。
六法先生
六法先生
条文上は小難しく書いてあるけど、これも当然だよな。不当に相続財産を得ようとした奴が受け取るなんて、被相続人にしろ他の相続人にしろ許せるはずないし。①の要件が殺人または殺人しようとした、に限られてるのは感覚が合わない人もいるかもだけど、相続が死亡によって発生する事を考えれば多少納得しやすいかもしれないな。

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