子には実子と養子、実子には嫡出子と非嫡出子、養子には普通養子と特別養子など、一言で”子”と言っても、法律上の子の定義には様々なものがあります。子の存在は、法定相続人や法定相続分等の相続関係にも影響を与えます。
今回は、実子のうち”嫡出子”について詳しくみていきたいと思います。
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実子(嫡出子・非嫡出子)の概要
実子とは、親と自然に血縁関係にある子のことを言います。母親の場合は自分の血を分けて産んだ子、父親の場合は自分の血を受け継いだ子のことをいいます。
実子には、嫡出子と非嫡出子の2種類の実子がいます。嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子、非嫡出子は嫡出子以外の実子(法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子)のことを言います。
嫡出子は更に、生まれた時から嫡出子となる生来嫡出子と、父母が婚姻することによって非嫡出子が嫡出子となる準正嫡出子がいます。
生来嫡出子には、推定される嫡出子、推定されない嫡出子、推定の及ばない子の3種類の子がいます。準正嫡出子となるには、婚姻準正、認知準正、死後準正といった方法があります。
[生来嫡出子]推定される嫡出子・推定されない嫡出子・推定の及ばない子
生まれた時から嫡出子となる生来嫡出子「推定される嫡出子」「推定されない嫡出子」「推定の及ばない子」のそれぞれの違いを見ていきたいと思います。
1.推定される嫡出子
①婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎(妊娠)した子であると推定されます(民法772条第2項)。そして、②妻が婚姻中に懐胎(妊娠)した子は、夫の子と推定されます(民法772条第1項)。
①と②に当てはまる嫡出子を、「推定される嫡出子」といいます。母と子の嫡出関係は母が子を出産することによって発生しますが、父と子の嫡出関係は、①②の2段階を経て推定されることになります。
2.推定されない嫡出子
「推定されない嫡出子」は、推定される嫡出子の要件を満たさない為に嫡出推定を受けることがない嫡出子のことを言います。
例えば、婚姻前に長らく内縁関係にあり、内縁中に懐胎(妊娠)し、婚姻後200日以内に生まれた子(=いわゆる「授かり婚」をした後に200日以内に生まれた子)は、推定されない嫡出子として、嫡出子の身分を取得します。
3.推定の及ばない子
「推定の及ばない子」とは、推定される嫡出子の2つの要件を満たしながらも、嫡出子であると推定されない嫡出子のことを言います。
例えば、刑務所の中にいる夫と婚姻(獄中結婚)後に妻が生んだ子は、事実上妻が懐胎することが不可能であり、婚姻後200日経過後であっても、嫡出推定が及ばず「推定の及ばない子」となります。
この他にも、長期に渡って別居している夫婦間に生まれた子や、夫が単身で海外勤務しており、長期間妻と会っていない場合に生まれた子、医学的に生殖能力がない夫との間に生まれた子等が推定の及ばない子とされます。
嫡出子であることを否定する方法
「推定される嫡出子」も「推定されない嫡出子」も「推定の及ばない子」も、嫡出子であることに変わりがありません。そのため夫等が「本当は嫡出子ではないかも」と思っていても、何もしないでいると、そこには親子関係があります。夫が死亡すると、当然にその子には相続権が発生し、法定相続人となります。
夫が嫡出子であることを否定する方法には「嫡出否認の訴え」と「親子関係不存在確認の訴え」があります。
1.嫡出否認の訴え
「嫡出否認の訴え」は、推定される嫡出子に対して、その嫡出性を否定するための訴えになります。
嫡出否認の訴えを提訴できるのは、原則夫です。
(夫が成年被後見人の場合)
成年後見人
→但し、妻が夫の成年後見人である場合は、成年後見監督人
(夫の死亡後)
・その子がいるために相続権を害される者
・夫の3親等以内の血族
訴えの相手方は、その子又は親権を行う母です。
親権を行う母がいない場合は、家庭裁判所が選任する特別代理人(弁護士等)を相手方にして提訴します。
提訴期間は、夫が子の出生を知った時から1年以内とされています。
2.親子関係不存在確認の訴え
「親子関係不存在確認の訴え」は、推定されない嫡出子又は推定の及ばない子に対して、その嫡出性を否定する訴えになります。
| その子との嫡出性を否定する訴えの比較 | |
| 嫡出否認の訴え | 親子関係不存在確認の訴え |
| 推定される嫡出子 | 推定されない嫡出子 推定の及ばない子 |
親子関係不存在確認の訴えは、訴えの利益が認められる限りにおいて、誰からでも提訴することができます。また、提訴する期間に制限はありません。
推定される嫡出子は、夫の嫡出子である可能性が高く、子の地位の安定を確保することを重視するため、提訴権者や提訴期間の要件が厳しく定められています。
これに対して、推定されない嫡出子や推定の及ばない子は、推定される嫡出子に対して夫との嫡出性が低いため、訴えの要件が軽くなっています。
[準正嫡出子]婚姻準正・認知準正・死後準正
ここからは、実子の中の嫡出子のうち、準正嫡出子について見ていきたいと思います。
準正とは、父親が嫡出子でない子(非嫡出子)を認知することによって、その子が嫡出子の身分を取得する制度のことをいいます。認知とは、その子との間に親子関係を発生させることをいいます。※認知については、次回の記事で詳しく紹介します。準正によって嫡出子の民を取得した子を、「準正嫡出子」といいます。
準正には、父親が非嫡出子である子を認知後に婚姻したことによって、その子が嫡出子となる「①婚姻準正」、婚姻中に非嫡出子である子を認知することによって、その子が嫡出子となる「②認知準正」があります。
「①婚姻準正」は、認知後に婚姻する認知先行型、「②認知準正」は、婚姻後に認知する婚姻先行型の準正とも言えます。
また準正には、既に死亡した非嫡出子である子を認知することによって、その子が嫡出子となる「③死後準正」と呼ばれるものもあります。
③死後準正には、例えば、非嫡出子である死亡した子に子(非嫡出子の父母から見て孫)がいる場合に、その死亡した子が嫡出子の身分を取得することによって、その後父母が死亡した場合に代襲相続で孫が父母の相続人となる等のメリットがあります。













