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相続・終活

【遺言】自筆証書遺言とは?メリット・デメリットと法改正について詳細に解説[相続・終活の基礎知識]

相続終活17自筆証書遺言

誠実先生
誠実先生
前回の記事で遺言書の種類とそれぞれの特徴についてご紹介しましたが、今回はその中でも「自筆証書遺言」について掘り下げていきます。

自筆証書遺言とは ?

自筆証書遺言は、遺言者自身が全文、日付及び氏名を自書し、これにを押さなければなりません(民法968条)。

誠実先生
誠実先生
『自筆証書遺言の用紙はどのようなものにすればいいですか?』という質問を受けることもありますが、用紙に制限はなく、便箋、レポート用紙などなんでもOKです。
電卓先生
電卓先生
文字の記載も、筆、筆ペン、ボールペンなどなんでもいいですし、封筒に入れておかなければならない、なんてルールもありませんね。

    引用元:法務省HP「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」参考資料(1)

つまり自筆証書遺言は、全文/日付/氏名の自書・押印をすること以外には、用紙や筆記具・書き方には制限はなく、もっとも遺言者自身で作成しやすい遺言書といえます。

以下では自筆証書遺言について、そのメリット・デメリット等を見ていくこととします。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言のメリット

誠実先生
誠実先生
自筆証書遺言のメリットは、何と言っても遺言者自身のみで作成できることですね。

公正証書遺言は、公証人をはじめ、証人等の遺言者以外の人物の立会等が必要になってきます。その為、日程調整や公証人費用等が必要となります。

自筆証書遺言はこれらを気にする必要はなく、遺言者自身で作成することができるのが一番のメリットといえます。

発展

危急時遺言(死亡の危急に迫った者の遺言・船舶遭難者の遺言)や、隔絶地遺言(伝染病隔離者の遺言・在船者の遺言)を作成する際にも、証人等の立会が必要です。

自筆証書遺言のデメリット

誠実先生
誠実先生
自筆証書遺言のデメリットは、遺言作成者が内容作成からその後の保管までしなければならないことですね。

以下、公正証書遺言等と比較しながら ①遺言書作成時②遺言者の死亡後 に分けて、自筆証書遺言のデメリットを説明していきます。

①遺言書作成時の問題

上記でも説明した通り、自筆証書遺言は遺言全文、日付及び氏名の自書が必要となってきますので、これらを代筆やワープロ打ちによって作成することはできません。その為、自筆することができない方は公正証書遺言等他の遺言形式を選択する必要があります。

また遺言書の内容によっては、遺言書作成のプロである公証人が作成する公正証書遺言とは異なり、遺言自体が無効になることがある点がデメリットとして挙げられます。

誠実先生
誠実先生
自筆証書遺言が無効になる例として、例えば自筆証書遺言を複数人で作成している場合が挙げられますね。
電卓先生
電卓先生
遺言は、遺言者の意思を正確に反映させるものである必要があるので、一つの遺言書は一人で作成する必要がありますね。

②遺言者が亡くなった後の問題

誠実先生
誠実先生
自筆証書遺言は存在、保管先を相続人等に正確に伝えておく必要がありますね

公正証書遺言は、遺言作成後、公証人役場内にて保管されますが、自筆証書遺言の多くは遺言者ご自身で保管します。

その為、相続人等が保管場所が分からなかったり、遺言者が遺言書を残したことが伝わっていないなど、遺言を残しても遺言の存在自体が伝わらない恐れがあります

また公正証書遺言以外の遺言にあっては、相続人等は相続の開始を知った後遅滞なく、家庭裁判所に提出を行い出頭して、遺言の検認手続きを行わなければなりません(民法1004条)。

誠実先生
誠実先生
遺言の存在を知っている相続人等が、その後遺言内容を書き換える恐れがありますからね。

遺言の検認は、遺言書の偽造・変造を防ぐための手続きであり、遺言書そのものの有効性を決めるものではありませんが、遺言書に封印がある場合は、家庭裁判所において相続人等の立会いのもと開封をする必要があります。

誠実先生
誠実先生
公正証書遺言において検認が不要なのは、やはりプロである公証人が携わるからですね。
発展

危急時遺言(死亡の危急に迫った者の遺言・船舶遭難者の遺言)は、遺言書の効力を生じさせるための家庭裁判所による確認も必要になります。確認は、検認とは全く別の手続きです。

自筆証書遺言が使い易くなりました!

誠実先生
誠実先生
自筆証書遺言にはデメリットもありますが、親族法の改正によって使い易くなりましたね。

平成30年の親族法の改正に伴って、自筆証書遺言のデメリットとされていた点がいくつか修正されましたので、それらを紹介します。

①財産目録の自書が不要に

自筆証書遺言書に詳細な財産分配について記載する場合には、別途財産目録を作成することがあります。改正前はこの財産目録も自書する必要がありましたが、今回の改正によって財産目録は自書する必要がなくなりました(民法968条第2項)。

誠実先生
誠実先生
複数の銀行口座や不動産を持っている方が、財産全てを自書するのはとても手間でしたよね。

例えば遺言書の内容として、「一.私は、私の所有する別紙2の預貯金を、次の者に遺贈する」とします。

当該別紙として、『通帳のコピー』に署名押印をすることで、財産目録として添付することができるようになりました。(銀行名、支店名、口座名義、口座番号等が分かるページのコピーで可能)

誠実先生
誠実先生
財産目録自体はパソコンで作成することや、不動産の場合は登記事項証明書のコピーを添付すればよくなりましたね。
電卓先生
電卓先生
ただし数枚に亘って財産目録を作成した場合は、そのそれぞれに署名押印が必要になります。

②自筆証書遺言の保管が遺言書保管所(指定された法務局)で保管可能に

これまで自筆証書遺言は、遺言者自身で保管しなければなりませんでしたが、「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の開始により、自筆証書遺言を法務局で預かって貰うことが出来るようになりました。

各地方の法務局に遺言書保管所が設置され、遺言書保管官が設置されます。

遺言作成者自身が保管先を選択し、出頭して保管申請をし、保管官の遺言書の形式的な確認及び本人確認の実施後、自筆証書遺言が当該保管所にて保管される事となります。

保管申請の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 遺言書の作成及び保管先の選定
  2. 保管の申請書の作成及び保管申請の予約
  3. 保管の申請
  4. 保管証を受け取る

 

誠実先生
誠実先生
保管制度によって、自筆証書遺言の偽造・変造は起こりにくくなりますね。

自筆証書遺言を作成した場合でも必ずしも保管所を利用する必要はありません。しかし、この制度を利用した場合、偽造・変造の恐れがなくなるため、公正証書遺言と同じく検認手続きが不要になります。

自筆証書遺言に対する司法書士の会話

誠実先生
誠実先生
親族法の改正に伴って、自筆証書遺言が使い易くなりましたね。
電卓先生
電卓先生
財産目録の自書が不要になったのは大きいですよね。特にご高齢で複数不動産をお持ちの方に、全部自書してくださいと案内するのは酷でしたから。
情報屋先生
情報屋先生
遺言者自身で簡便に作れるということは、書き直しも可能ですので、例えば形式に注意したうえで、とりあえずノートに残しておくなんてこともできますよね。
六法先生
六法先生
遺言は財産の所有者である遺言者の意志が反映されやすいですし、相続人間の争いを避ける側面もあるから有効に使っていきたい制度だな。

 

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