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【前提】遺言制度の趣旨
遺言とは~遺言の目的~
「遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です。(中略)
世の中では、遺言がないために、相続を巡り親族間で争いの起こることが少なくありません。しかし、今まで仲の良かった者が、相続を巡って骨肉の争いを起こすことほど、悲しいことはありません。
遺言は、上記のような悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残した財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることに主たる目的があります。」
(日本公証人連合会 公証事務 遺言 より抜粋)
遺言の法的性質
遺言は、民法に定める方式に従わなければすることのできない行為(要式行為)であり、遺言者自身でする相手方のない行為(単独行為)です。
また、その効力は当然に遺言者の死亡後に発生する法律行為(死後行為)でもあります。
遺言能力
- 満15歳であること
- 成年被後見人の制限(民法973条参照)
遺言にはそれをするだけの能力があることを必要とする為、成年被後見人が遺言をするには、医師二人以上の立ち合いの元、その能力があることの確認がなされることが必要となります。
遺言の種類について~大枠~
遺言書は大きく分けると『普通方式』と『特別方式』の二つに分別されます。
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、危急時遺言や隔絶地遺言などの特別の方式によることを許す場合は、この限りではない。(民法967条)
更に、『特別方式』による遺言は、『緊急時遺言』と『隔絶地遺言』とに分かれます。
こちらについては、下記にてご説明します。
【普通方式】①自筆証書遺言
自筆証書遺言の要件(民法968条)
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。(民法968条)
条文上はこのようになっています。用紙の指定、封印の必要性や押印が実印である必要はなく、公証人等他人の立会いも必要もありませんので手間費用が掛からないのが最大のメリットと言えるでしょう。
遺言が無効になる事例として以下いくつか例を挙げておきます。
- 一部パソコンによって作成されている。
- 日付が『令和2年1月吉日』となっている。
- 夫婦共同で作成されている
【普通方式】②公正証書遺言
公正証書遺言の要件(民法969条参照)
- 証人二人以上の立会いのあること。
- 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
- 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
- 遺言者及び証人が、筆記の性格なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
- 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
公正証書遺言のメリット・デメリット
最大のメリットは遺言書作成の公証人が携わることです。当然、遺言内容の不備は生じにくいですし、公証人役場で保管がなされるため紛失等もありません。
デメリットとしては、公証人が携わるため費用、時間が取られる点です。
証人について
自筆証書遺言以外の遺言形式では、証人や立会人を必要とします。この証人等に就任できない人がおり、端的に言ってしまえば、遺言の公平性が保てないような人物では、証人は務まらないと言えるでしょう。(民法974条参照)
証人及び立会人の欠格事由
- 未成年者
- 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
【普通方式】③秘密証書遺言
秘密証書遺言の要件(民法970条参照)
- 遺言者がその遺言書に署名押印をすること。
- 遺言書に封をし、その上で遺言書に用いた印をもってこれに封をすること。
- 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨並びに氏名及び住所を申述すること。
- 公証人が、その遺言書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人と共にこれに署名し、印を押すこと。
秘密証書遺言のメリット・デメリット
秘密証書遺言のメリットは、遺言の中身を誰にも見られることはなく、その存在自体は保証される点が挙げられます。また、自筆証書遺言とは異なり全文の自書が要求されていない点も挙げられます。
デメリットとしては、遺言内容の確認及び保管は自身で行う他なく、遺言自体が無効となる恐れや紛失等の恐れがある点、また公証人が携わることから費用や日程調整が必要となってくる点が挙げられます。
方式にかける秘密証書遺言の効力(民法971条)
秘密証書による遺言は、前条に定める方式にかけるものであっても、自筆証書による遺言の方式を具備しているときは、自筆証書による遺言として、その効力を具備する。
【特別方式】

『特別証書遺言』の特異点~遺言としての効果の滅失(民法983条参照)~
『特別方式』による遺言は、特殊な状況下における遺言であるため、『普通方式』による遺言が作成出来るようになってから6か月間、遺言者が生存する場合は、その遺言は効力を生じません。
『危急時遺言』と『隔絶地遺言』の相違点~代筆と確認の必要性~
『危急時遺言』は生命の危機に迫っている状態下、『隔絶地遺言』はそこまでには至っていなくとも交通を絶たれていたり陸地から離れているなどの状況下によって作成される遺言です。
その為『危急時遺言』は本人が作成することが困難な状態のことが考慮されており、遺言者が証人に口授することで作成する遺言形式となっています。(民法976条・民法979条参照)
さらに、『危急時遺言』では危急時において作成された遺言が、正確に遺言者の意思によるものであるかを確認する手続きが必要となってきます。(民法976条・民法979条参照)
| 証人・立会人 | 筆者 | 署名・押印 | 確認 | 検認 | ||
| 危急時遺言 | 一般危急時遺言(民法976条) | 証人3人以上 | 証人が口述を筆記 | 各証人 | 遺言日より20日以内 | 必要 |
| 船舶遭難遺言(民法979条) | 証人2人以上 | 証人が口述を筆記 | 各証人 | 遅滞なく | 必要 | |
| 隔絶地遺言 | 伝染病隔絶者遺言(民法977条) | 警察官1人及び証人1人以上 | 本人(代書可) | 本人・筆記者・証人・立会人 | 不要 | 必要 |
| 在船者遺言(民法978条) | 船長又は事務員1人及び証人2人以上 | 本人(代書可) | 本人・筆記者・証人・立会人 | 不要 | 必要 |
遺言の種類に関する司法書士と税理士の会話
『自筆証書遺言とは?メリット・デメリットと法改正について詳細に解説』
『遺言書の検認とは?~目的、必要書類及び手続について』
『法務局における自筆証書遺言書保管制度とは?司法書士が考えるメリット・デメリット』
『[議論/考察]自筆証書遺言と法務局における保管制度について(改正法)』













