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相続・終活

法務局における自筆証書遺言書保管制度とは?司法書士が考えるメリット・デメリット[相続・終活の基礎知識]

相続終活24法務局における自筆証書遺言書保管制度

誠実先生
誠実先生
「誠実先生の相続・終活の基礎知識」シリーズ。今回は「法務局における自筆証書遺言保管制度」について、その概要をご紹介します。
電卓先生
電卓先生
これをきっかけに遺言を書く方が増えるかもしれませんね。
情報屋先生
情報屋先生
遺言作成の相談があった場合、自分の事務所では公正証書遺言を勧めているけど、この制度の施行によって自筆証書遺言を勧めることも増えるかも。
六法先生
六法先生
うちの事務所じゃ今も自筆証書遺言を作成することもあるッスよ。費用が安く済んだり、公証人と日程を合わせたりする必要が無いっていうメリットもあるッスからね。

【前提】自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

遺言を書こうと考えた時、多くの方は自筆証書遺言、又は公正証書遺言での遺言書作成を検討されます。

遺言の種類

自筆証書遺言全文・日付・氏名を自書し、押印をした遺言。作成した遺言は、遺言者自身で保管する。

公正証書遺言公証人の関与のもとに作成される遺言。作成した遺言は、公証役場で保管する。

電卓先生
電卓先生
遺言の種類には、自筆証書遺言と公正証書遺言の他にもあります。それぞれの遺言の違い等、遺言についての詳細記事は、近日公開予定です。

自筆証書遺言とは?メリット・デメリット

自筆証書遺言は遺言者自身で作成でき、費用が安く済むため手軽に作成することができます。また、公証人が関与しないため、自分の財産を開示することなく秘密裏に作成することもできます。

しかし自筆証書遺言は遺言者自身で保管する必要があるため、①相続人が遺言書の存在に気づかない、②他人に変造・偽造される恐れがある、③遺言書をなくす、破棄される、④要件を満たしていないために無効になる恐れがある、といったデメリットもあります。

また自筆証書遺言は、⑤家庭裁判所による検認手続が必要になります。検認とは、家庭裁判所が確かに遺言があったということを確認し、形式に不備がないかをチェックする手続きです。検認は遺言書を発見した相続人等がする必要がありますので、相続人がする相続手続の手間が増えることもデメリットの一つになります。

公正証書遺言とは?メリット・デメリット

公正証書遺言は公証人が関与して作成する遺言です。遺言の要件を満たさないことによって遺言が無効になる恐れはなく、他の誰かの詐欺や強迫等によって遺言者の真意ではない遺言が作成されることもありません

また、作成した遺言は公証役場で保管されますので変造や偽造されることはなく、遺言書を無くしたり破棄されたりする心配もありません。公証役場で確実に保管されているため、相続人が発見しやすいといったメリットもあります。そして家庭裁判所による検認手続も不要なため、相続人(、受遺者等)の負担も軽減できます。

一方、公正証書遺言は公証役場に支払う費用がかかり、遺言を作成するのに決められた必要書類を集める手間や時間がかかるといったデメリットもあります。また、公証人や証人などに財産を開示する必要もあります。

【概要】法務局における自筆証書遺言書保管制度とは?

自筆証書遺言には、先に述べたのように相続人が遺言書の存在に気づかない、②他人に変造・偽造される恐れがある、③遺言書をなくす、破棄される、④要件を満たしていないために無効になる恐れがある、⑤家庭裁判所による検認手続が必要といったデメリットがありました。

これを解消すべく誕生したのが、今回のテーマである「法務局における自筆証書遺言書保管制度」です。

法務局における自筆証書遺言書保管制度は、その名の通り、作成した自筆証書遺言を法務局が預かってくれる制度です。遺言者の本籍地(又は住所地、所有不動産の所在地)の法務局に自筆証書遺言を持って行くと、法務局で自筆証書遺言の形式を満たしているかをチェックし、問題がなければ法務局でその遺言書を保管してくれます。

遺言者は、一旦保管された遺言書の閲覧ができますし、書き直したくなった場合はいつでも遺言を撤回することができます。また、法務局で保管されることによって、変造/偽造、遺失/破棄の恐れがなくなります

そして、遺言者が亡くなった後、相続人や遺言執行者・受遺者等は、遺言書が法務局に保管されているかの確認や閲覧をすることもできますので、遺言書を見つけやすくなります。更に、法務局で形式チェックをおこなうため、家庭裁判所による検認手続きが不要になります。

このように、法務局における自筆証書遺言書保管制度は、従来の自筆証書遺言のデメリットとされていたことを解消する目的で成立した制度になります。

【考察】自筆証書遺言書保管制度によって何が変わるか?

誠実先生
誠実先生
法務局における自筆証書遺言書保管制度が施行されることによって、どのような影響があるかな?
電卓先生
電卓先生
遺言書を確実なものとして遺したい場合には、これまでは公正証書遺言が選択されていましたが、この制度によって、自筆証書遺言を選択する方も増えるでしょうね。
情報屋先生
情報屋先生
そうですね。自筆証書遺言の形式不備による無効や遺失・破棄・改ざんと言った心配が無くなるのは、大きなメリットですね。
六法先生
六法先生
検認が不要になるから、相続人や受遺者の負担が軽減されるよな。相続人や受遺者のことを考えて、この制度を利用する人もいるだろうな。
考察

自筆証書遺言のデメリットが解消されたことによって、遺言者が公正証書遺言か自筆証書遺言か、どちらを作成するかを柔軟に選択できるようになる。

誠実先生
誠実先生
法務局における自筆証書遺言書保管制度は、広く一般に利用しやすい制度なんだろうか?
電卓先生
電卓先生
申請書は法務局の窓口に備え付けられていますね。また、申請書が法務省のHPでダウンロードも出来るのは、利用者の利便性が高くて良いですね。
情報屋先生
情報屋先生
申請に必要な書類は、㋐遺言書、㋑申請書、㋒本籍の記載のある住民票の写し、㋓本人確認書類なので、遺言者自身で用意できそうですね。
六法先生
六法先生
手数料は1通につき3,900円だから、公正証書遺言を作成するよりも、費用面でも利用しやすいな。でもまだ利用実績が少ないから、運用していくうちに不便な点が出てくるかもしれないな。
考察

現時点では、手続が簡易で利用しやすい制度だと考える。

誠実先生
誠実先生
司法書士等の遺言書作成業務に携わる専門家に与える影響はあるだろうか?
電卓先生
電卓先生
相談者の思いを汲み取って、総合的に判断した上で、自筆証書遺言か公正証書遺言かの選択をすることができるようになりますね。
情報屋先生
情報屋先生
公正証書遺言に比べて自筆証書遺言の保管制度を利用する場合の必要書類が少ないので、依頼から完了までの時間が短くなりますね。遺言書作成を急ぐ場合に保管制度を利用した自筆証書遺言を選択するのもアリですね。
六法先生
六法先生
形式だけ見たら全部自分で出来そうだけど、遺言書の内容を精査して確実なものにするには専門家がサポートすべきところだし、申請手続は専門家に任せた方がスムーズにいくよな。
考察

提案する遺言の種類の選択肢が増える。専門家は遺言書内容の相談・申請手続代理に関わる。

誠実先生
誠実先生
個人的には、今回の制度が広く一般に普及することによって、遺言、もっと言うと”死”に対する考え方が変わると思うんだけど、どうだろうか?
電卓先生
電卓先生
そうですね。現状では遺言書を作成するというと、自分の死を連想して、どこかネガティブなイメージを持つ方が多いと思います。しかし、こういった制度もあることが認知されると、遺言書を作成することは特別なことではなく、いずれ誰しもに訪れる死に備えて準備しようと思う方が増えるかもしれませんね。まぁ、時間はかかりそうですが。
情報屋先生
情報屋先生
はるか昔は子供が親の面倒を見て、遺産を相続するのが当たり前のような風潮があったけど、最近は親と子は独立した世帯として考える方が増えていますね。自分の老後や死後に、子供にはなるべく迷惑をかけたくない、といった考えを持っている方も多いと思います。時代の変化の後押しもあって、遺言を作成する人が増えそうですね。
六法先生
六法先生
制度だけ整えても利用する側の意識が変わらないと利用するまでには至らないよな。新しい試みが始まる場合、制度の普及が先か、意識の変化が先かはいつも鶏と卵みたいな関係だけど、どちらが欠けても浸透しないよな。俺らが出来ることの一つに、こういった制度を紹介したりして、相続が争族にならないように、来たる相続に向けて準備すべきことを認知させていく活動をすることがあるな。あとは司法書士としては、適切にアドバイスしたり滞りなく手続きを進めるためにも、日々勉強を怠らず経験を積んでいくことも必要だな。
考察

死や相続に対する意識の変化によって、相続に備えた準備をする人が増える。大相続時代を迎えて専門家の役割も大きくなる。

 

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